不動産小口化商品の人気上昇!選ばれる理由と顧客に合った投資方法
雑誌やSNSなどで「不動産の小口投資」に関する商品広告やコラムなどをよく目にすることが増えました。
過去のプロサーチのメルマガにも、この「不動産小口化商品」をテーマに取り上げてまいりましたが、近年、小口化した不動産への投資手法が増え、様々な商品が登場してきました。
そこで今回は、不動産の小口投資の現状とその提案手法についてお伝えします。
皆さまの顧客への不動産投資の選択肢として活用いただけたらと存じます。
<本メルマガのポイント>
・顧客のニーズに合わせた不動産小口化商品の提案方法
・相続対策向けの不動産小口投資が合うお客様の特徴
不動産小口化商品人気上昇の背景
小口化した不動産を購入すると聞いたら、どんな投資を思い浮かぶでしょうか?
イメージしやすいのはJ-REIT(不動産投資信託)や不動産小口化商品などがあります。
不動産の小口投資とは、権利(所有権)が小口化された不動産に口数単位で投資する手法です。
一口1万円~1000万円ほどで、現物の不動産ではなかなか投資できない好立地な物件を購入できるのが特徴です。
扱う事業者や商品ラインナップが増えたこともあり、弊社への小口投資に関する問い合わせも増えてきました。
ご相談者になぜ小口化不動産を検討しているのか訊いてみました。
②区分マンションの手軽さに似た不動産投資商品として興味がある
③地震など災害リスクを考え分散投資を考えている
現物不動産価格の上昇
※国土交通省HP:不動産価格指数データを参照
緑色の線の区分マンションについては、2010年と比較し2倍近くに上昇しています。
都心23区だけで見ると、新築マンションの平均価格は1.1億円、中古でも7500万円(74㎡換算)を超えています。
マンションデベロッパーの話では、材料費の上昇を吸収するためにも、1戸あたりの供給面精をこれまでよりも小さくして販売価格を維持させるなどして対策していると聞きます。
マンション価格の値上がりが続いているため、投資目的で購入したい投資家からしてもその影響はもちろん響いてきます。
影響を端的に言いますと、マンション価格が上昇しても、賃料は比例して上がることは少ないため、投資用不動産の利回りは低くなります。
つまり、従来と同じ予算では希望条件の物件購入ができなくなっており、同条件の立地を購入したい場合は予算を上げるしかありません。
こうした背景から、物件の条件(立地や築年数など)を見直して検討する方が多く、少額で優良物件に投資が出来る小口投資の検討が増えています。
区分マンションの相続税評価額の改定
令和6年1月1日以降に相続や贈与で取得した区分マンションの相続税評価額が改定されました。
背景としては、タワーマンションなどでは、相続税評価が時価の3割程度と乖離が生じることがあり、これを利用した節税(タワーマンション節税)が横行したことにあります。
今回の改定により、物件にもよりますが概ね時価の6割程度の評価額になるように調整されることになりました。
相続対策を目的として購入したい方にとっては、価格上昇も相まって、思っていた効果が得られにくくなってしまっています。
そのため、本メルマガ時点では区分マンションよりも評価減効果の高い小口投資への検討が増えています。
分散投資の意識向上
南海トラフ地震などの自然災害の懸念が高まり、都心ではなく地震のリスクが少ない都市や観光地への投資も増えていることから、資産の安定性や地方都市の開発による資産価値の上昇などを考え、それらの地域に分散投資する動きが出ています。
そのため、少ない予算でも分散投資のしやすい小口化不動産が注目されています。
小口投資の種類
では実際、小口投資にはどのような種類があるのでしょうか。
簡単にまとめますと、以下の選択肢があります。
<不動産小口投資の種類>
不動産特定共同事業法の商品
不動産特定共同事業法を使用した小口化商品で、主に匿名組合と任意組合型に分かれます。
■匿名組合型
特定の不動産を持っている人に投資をするため、実際に不動産の持ち分を所有することにはならず、得られる所得も雑所得となります。相続税評価も不動産評価となり相続対策にならず、投資向けの商品です。
商品は通常の収益不動産から不動産開発事業まで幅広くあるのが特徴です。
■任意組合型
複数の投資家と一緒に対象不動産を購入することになりますので、得られる所得は不動産所得なり評価も不動産評価(現物不動産と同様)となります。
商品は主に主要都市のビルや一棟マンションで、購入単価が100~1000万円/口と高額になるのが特徴です。
信託法型
信託法を活用した小口化商品です。
売買対象が信託受益権の一部となるため、実質、不動産を所有することと同等になります。
そのため、所得や評価は通常の不動産同様です。
クラウドファンディング型
担保にされた対象不動産に対して、クラウドファンディングで投資をする方法です。
不動産を購入するのではなく、所有する人に出資する形になりますので、こちらも不動産所得にはなりません。
他の商品と比較し、ネット申し込みから決済が可能で初期投資も1万円/口~投資できるのが特徴です。
不動産デジタル証券(セキュリティトークン)
近年登場した、ブロックチェーンを使って不動産を有価証券化したものに投資をする方法です。
他の方法と比べて、売り手も買い手も取引が手軽にできるため、現在注目されています。
初期投資も少なく、ネットで完結できるところはクラウドファンディングと同様ですが、将来的には24時間365日1円から売り買いできることも可能になるようです。
J-REIT
不動産に特化した投資信託であるため、不動産を直接購入するのではなく、不動産投資をするプロに投資をして収益を得る方法となります。
そのため、所得も不動産所得にはなりません。
取引のしやすさで言えば、取引市場があいている時間帯であれば、いつでも売り買いが出来る流動性の良さは一番ですが、その分、毎日価格が変動するリスクがあります。
まとめると・・・
⇒富裕層向けか一般投資家向けかに分類
②相続対策になるもの(不動産を所有するとみなされるもの)とならないものがある
⇒相続対策を含めた投資をするかによって、選択肢が変わってくる
③購入のしやすさに大きな違いが出る(ネット完結可能か否か)
⇒不動産を所得のものは、書面でのやりとりが必須となる
不動産小口投資の提案方法
不動産小口投資の提案のポイントは、そのお客様が何を目的に不動産投資を行いたいかです。
そのポイントはまず、目的に相続対策(評価減対策)をするか否かで、大きく不動産投資の選択肢が絞られます。
相続対策をする場合
まず、購入する不動産を使用するかしないかで大きく分かれます。
①自分や家族が使用したい、自分で管理をしたい場合
必然と小口投資ではなく現物投資となります。
➁使用せず、管理等の手間もかけたくない場合
小口投資の任意組合型や信託受益権型の選択になります。
(使用している法律の違いはあれど、得られる所得や効果は同様です)
相続対策しない場合
予算にて選別が可能です。
より少額で始めたい投資初心者の方や少しずつ積み立てたいなど方は、1万円ほどから投資できるクラウドファンディング型や不動産デジタル証券が選択肢となります。
どちらも商品や購入方法は似ていますが、不動産デジタル証券は株式と同様に分離課税になりますので注意が必要です。
不動産や相続に関する専門家の皆様においては、まずは相続対策が必要な場合の現物不動産と小口化投資(任意組合型と信託受益権型)の出来ることを目指して頂けたらと思います。
相続対策向けの小口化投資の進め方
お客様によっては、現物不動産と小口化投資の説明をしても迷ってします方も多くいらっしゃいます。その際にお客様の決定打になる質問を2つご紹介します。
■質問①:「不動産の管理に不安はありませんか?」
⇒不動産投資をする場合、賃借人との契約や折衝、修繕の判断など、様々な手間と費用が掛かります。管理会社等に任せたとしても、その判断をしなければいけないのは変わりません。
もし投資をしたことがなく不安な場合は、小口投資をお勧めします。
小口投資の管理は販売事業者がおこなうため、手間がなく、株式のように配当を得るだけになります。
■質問②:(親の立場で)「お子さんはどちらが欲しいと言っていますか?」
⇒相続を考えたとき、相続の問題は親の問題ではなく、相続を受けて税金を支払う子供の問題です。そのため、子供の意見を聞き、その気持ち沿った対策をすることが望ましいです。
上記により、親子のお気持ちや考えのベクトルが揃い、より家族想いに沿った相続対策が実現できます。
小口投資を選んだお客様の声
上記の提案をもとに、最終的に小口投資を選んだお客様の声をまとめました。
少しでも皆様のご提案の参考になればと幸いです。
「不動産経営の判断や管理の手間が心配だったけど、プロに全て任せられる」
「早く対策が必要なとき、小口投資は契約から決済まで1ヶ月掛からずに対策できた」
「口数単位で贈与しやすく、税金を抑えながら簡単に子どもに資産承継できた」
「区分マンションは入居者がいないと収入はゼロ、小口は安定して収入が入って安心」
まとめ 遺産相続コンシェルジュより
今回のポイント
・増えた不動産の小口投資の選択肢がと特性を理解する
・顧客のニーズに合わせた不動産小口化商品の提案をする
・相続対策向けの不動産小口投資が合うお客様の特徴を理解する
近年、不動産の小口投資の手法が増えてまいりました。
国もこの小口投資の仕組みを利用して、空き家問題など様々な不動産の問題解決をしようしているため、今後より一層、不動産の小口投資がメジャーになっていく可能性があります。
今後より一層、不動産投資の手法が多様化しても問題ないように、専門家として武器として知識を持っている必要があるかと存じます。
もし不動産の小口投資に興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひプロサーチにご相談ください。