相続した別荘の維持費がつらい...別荘を売りたいと思ったら準備する3つのポイント

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相続した別荘の維持費がつらい...別荘を売りたいと思ったら準備する3つのポイント写真

2021.3.23

 
親から別荘を相続したけど、使う予定がなく管理費も負担が重いという理由から、売却を考える方も多いでしょう。
 
1990年代のバブル期、全国各地で土地開発がおこなわれ、「成功者の証」「値上がり期待」などまさに不動産バブルを象徴するように親世代が購入、投資してきました。
 
親は別荘を「富動産」として保有し続けてきました。しかしバブル崩壊後は、値上がりもなく管理などの負担が重く、使い道のない別荘を子世代は「負動産」としてみています。
 
実際に別荘の売却は1年以上買い手がつかなかったり、売却を断念している方もいるくらい大変です。
 
しかし、事前に対策を講じておくことでそれらを回避することができます。
 
本記事では、「親が別荘を持っているが、自分は使う予定がない」「相続したが手放したい」という方に、できるだけスムーズに別荘を売却するための準備や手段をお伝えします。
 

本記事のポイントは以下の通りです。
 

・道路が整備されてなく放棄地が目立つような別荘地は、当たり前だが売却が困難。
 
・物件の登記簿謄本や別荘地の管理規約などの資料を整理して不動産会社に相談すると話がスムーズに進みやすい。
 
・購入希望者から見ると別荘は希望のライフスタイルを叶える手段。別荘で手に入る生活を想像させるように物件の清掃をしたり、物件案内の資料を作成することが大事。

 
 

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別荘を相続した人の声

口コミ
 
親から別荘を相続した、またはする予定の子世代はなぜ売却したいのでしょうか?実際の相談者の声を紹介します。
 

親から相続した別荘の管理組合から月額管理費3万円の請求が。使わないのに毎月3万円の負担はつらい。

 

隣地の方から、雑草が敷地に入ってくるから除草してほしいと苦情がきた。除草の見積もりを取ったら10万円!親は認知症で施設入所していて使わないし、自分も使わない。雑草費用以外にもコストかかるから維持管理が大変。

 

温泉が引いてあるのは良いけど、月3万円の利用料、配管洗浄など諸経費がかさみ、月5万円以上の負担が家計を圧迫している。

 

箱根の温泉付きマンションを相続したのですが、家族の誰も使わないのに月7万円の管理費、固定資産税で年間100万円支払っています。そのお金があれば毎月色々なところに旅行にいけるのですが…

 
別荘を持っているというだけで羨ましがられたりしますが、別荘を所有することの大変さがあるようです。このように、別荘を使わないのに維持管理費がかかることを子や家族は負担と感じ、手放したいと考えるのです。
 
コロナ禍で、都心など中心市街地から自然豊かなところへの移住者が増えるというニュースがありました。別荘需要が高まり見直されるのではないかと期待しますよね。
 
実際、東京では転入より転出が多かった月もあり、移住の需要を促進したい不動産会社は田舎暮らし情報などを打ち出していました。
 
しかし、この恩恵にあずかるエリアは『電車通勤1時間圏内』『商業施設があって生活の利便性高い』といった条件が揃うところに限られるでしょう。
 
別荘があるエリアとは言い難いので、コロナ禍での別荘購入の需要はさほど大きくならず、1週間だけ使いたいなどシェア利用の方が高くなるのではと思います。
 
 

売却が難しい別荘の特徴

高原の別荘

 
別荘売却は、一般住宅地の家を売るのとは異なり、購入ターゲットが限定的(別荘が欲しくて、買える資金力等がある人)であり、別荘地内の管理状況が悪いと売れにくくなります。
 
近隣に商業施設やゴルフ場があり、観光資源が豊富な軽井沢や草津のような別荘地はまだまだ人気があり、すぐに買い手がつくような物件もあります。
 
しかし、それ以外の特筆すべきものがない別荘などは買い手がつかず苦戦しています。
 
 

売却困難な別荘物件>
・住環境の悪い別荘地
⇒道路も亀裂や陥没などデコボコ、落ち葉も放置、建物も少なく放棄地が目立つ別荘地。
 
・建築に相当な費用がかかる
⇒別荘地が、土地が傾斜/高低差があり擁壁などの造成費がかかる、樹木が多く伐採伐根が必要、既存家屋が古く解体が必要など、買主にとって建築コストが余計にかかる。

 
 
寂れたイメージがある別荘は買いたいとはならないでしょう。
 
また、買主にとってはもちろんコスト面も気になるところです。
 
例えば、別荘地+建築で3,000万円(土地1,000万円+家2,000万円)かかったとし、それを全額借入したとしたら毎月ローン支払いが10万円程度。ほかに別荘地管理費と固定資産税で毎月5万円とすると、別荘を所有するのに毎月15万円払うことになります。
 
別荘を所有している満足感は代えがたいものがあるかもしれませんが、15万円あれば毎月2・3回は“いいホテル”に宿泊できます。
 
最近では、ホテルが10万円~30万円で30日間連泊できるプランを出していますし、別荘を所有しなくても民泊やレンタルを活用すれば別荘に泊まることができます。
 
それ以上の期待値があなたの所有する別荘になければ、売却するのは大変でしょう。
 
この他にも、別荘地までのアクセスが悪い、インターネット環境が整っていないとそもそも検討候補にも上がらないこともあります。
 

 
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別荘の売却を検討する際に事前に確認しておくこと

チェックリスト
 
スムーズに別荘を売却するために、以下の7つの項目を確認しておきましょう。
 

 1)土地建物の登記簿謄本、公図、建物図面、測量図

物件の場所や規模などを知るための書類。
法務局出張所で取得可能。
しかし、建物図面や測量図が法務局に保管がない場合は取得できない。
 

 2)固定資産税課税明細書

土地や建物の固定資産税評価額、固定資産税額を把握するための書類。
毎年別荘所有者の自宅に届く。

 

 3)別荘地の管理規約、支出明細

建築物の制限やゴミ出しなどの約束事、管理会社の役割や、毎月の管理費、温泉の利用料など支出を把握するための情報。

 

 4)土地の現況

傾斜地、崖地、平地かどうか、樹木や塀、前面道路との高低差などの状態、下水道管、ガス(プロパンガスが多い)、電気などのライフラインの状態。

 

 5)建物の現況

床材や柱などの状態、住設備の不具合の有り無しなど、建物を現況のまま利用可能かどうかや、増改築やリフォームの情報。
 

 6)購入時の別荘地パンフレット

別荘地全体の把握、当時のセールスポイント、販売状態や価格が分かる資料。
 

 7)現地や周辺の写真

土地建物、家屋内、別荘地内、管理棟、近隣施設などの別荘等の状態を視覚的に掴むための写真。
 
 
不動産会社に売却相談するときに、これら資料があると話がスムーズです。もし手元にない場合は、不動産会社にこれら①~⑦の調査を依頼しましょう。有料となる場合がありますから、調査内容と料金をよく確認して依頼するようにしてください。
 
 

別荘を1円でも高く売却するために行うプロの秘訣

 
次に、売却手段についてです。
 
まずは別荘を取り扱える不動産会社に不動産査定をしてもらいましょう。
 
もし不動産会社とお付き合いがない場合は、知人や顧問税理士などから紹介してもらうと不動産会社も親身に聞いてくれやすくなるので良いかもしれません。
 
もちろん、インターネット検索で『○○県 別荘 売却 不動産会社』と探して連絡したり、同じ別荘地にある売り別荘検索をして、その売却不動産を取り扱っている不動産会社に連絡するのも良いでしょう。そのうえで、売却活動を始めるようにしてください。
 
以下は弊社がいつも行っている売却ステップです。
なお、売却情報をインターネット掲載するのはステップ4からです。
 

 ステップ1.隣地の方へ手紙を出し、購入意思確認する

「自分の別荘の隣地に子ども用として欲しい」「庭として使いたい」などのニーズを掘り起こします。
 

 ステップ2.隣地の方と一緒に売却する

土地面積が大きくなり、より大きな建物を建てることができます。福利厚生施設として法人が購入するケースもあり売却対象が広がります。
 
隣地には家が建っていて自分は更地の場合なら、更地を庭や露天風呂施設などに利用できるなどポイントを付けて活動できます。
 

 ステップ3.不動産事業者への売却

不動産業者の買取は利益などを控除されるので、個人が購入する価格より低くなるデメリットがあります。こちらから不動産会社へ買いませんか?と直接聞けるので、買い手を見つけやすいメリットがあります。
 
不動産会社の買取価格をまず先に確認し、「その価格で売却して手放す」か「買取価格や意見(販売価格)を参考に売却価格を決め個人へ売却する」かを選択します。
 

 ステップ4.個人への売却活動

・インターネット(ポータルサイト、リゾート専門不動産サイト)へ情報掲載
・地元やリゾート物件を扱う不動産会社への情報提供
・富裕層を顧客にもつ税理士等の専門家への情報提供
・別荘エリアの地域紙への掲載 ・・・など一人でも多くの人の目に触れるようにします。
 
 

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別荘の売却チャンスを逃さないための3つのポイント

電球 ポイント
 
売却活動のときに重要なことを3つに絞りお伝えします。

 

これをしないとチャンスを逃すかもしれませんので、必ず取り組んでください。

 

 1)物件の調査資料や関係書類は漏れなく用意すること

不動産情報が少なく不明点ばかりだと、リスクがあるとして購入断念される可能性があります。調査はしっかり行い、不明点があったとしても「どこまで調べたか」を伝えるようにしましょう。
 

 2)土地や建物を綺麗に清掃しておく

雑草が生い茂り、ごみを捨てられ、足の踏み場もないような見た目が悪い物件は誰も欲しがりません。売却活動をスタートする前に清掃して綺麗な不動産に仕上げ、月に1度以上は見回りし、必要に応じて清掃するようにしましょう。
 

 3)分譲マンションのようなパンフレット

「見てみたい!」と興味を持ってもらうような物件情報資料を作成することが何よりも重要です。別荘を購入する人は、単純に家が欲しいのではなく『希望のライフスタイル』を叶えたいのです。物件概要と地図と家の写真1枚だけの情報が載っているA4一枚の募集図面でそれが伝わりますか?
 
新築の分譲マンションのパンフレットのように、住むことで得られるライフスタイルを伝えるように、募集図面も工夫しましょう。
 
同じ別荘地で売りたい人がたくさんいるようであれば、管理会社とも協力しお金を出し合い、独自のホームページを作成し、魅力を伝えるのもいいかもしれません。
 
 

注意事項

リスク・トラブル
 

「購入するから契約前に手付金として50万円ほしい」「測量しないと売却活動できないから、50万円先払いでほしい」などと契約や作業する前から費用請求してくる業者には要注意です。詐欺の可能性もあります。
 
このような話があれば、家族や友人、地元の不動産会社に相談してください。
 
 

まとめ

 

今回のポイントは以下の通りです。
 

・道路が整備されてなく放棄地が目立つような別荘地は、当たり前だが売却が困難。
 
・物件の登記簿謄本や別荘地の管理規約などの資料を整理して不動産会社に相談すると話がスムーズに進みやすい。
 
・別荘は希望のライフスタイルを叶える手段。別荘で手に入る生活を想像させるように物件の清掃をしたり、物件案内の資料を作成することが大事。

 

別荘の購入者を探すのは容易ではありません。しっかりと調査したうえで、別荘の魅力を一人でも多くの方に届き感じてもらえるように売却活動していきましょう。
 
別荘を相続した、または相続する予定のある方は、本記事を参考に売却準備を進め、親身に相談に乗ってくれる不動産会社へお問い合わせしてみてください。
 

 
 

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・「自分の財産への意識と傾向」から見る現状把握の実態
・やって知ろう!あなたの「財産把握レベルチェックシート」
・収入を倍に!親と兄弟妹3人が叶えた相続対策と進め方
・相続対策を検討する際に知っておきたい専門家選びのポイント
 

 

この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

 

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