収益不動産の空室に悩むお客様の5つの共通点と、空室解消のための5つのチェックポイント

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2022.1.14

 
収益不動産を所有するお客様から『空室による収入減』についてのお悩みを聞いたり、ご相談を受けたりしたことはありませんか?
 
不動産オーナーを取り巻く環境は、年々厳しくなり、そして激動しています。
 
人口減少のあおりもさることながら、私たちは、モノとインターネットがつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)の進化や住宅設備の目覚ましい発展で、ついこの間までは新しいと言われていたものがあっという間に過去のものとなるような時代にいます。
 
そして、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響によるライフスタイルの見直しで、都心の窮屈な部屋から、例え勤務先から少し遠くても広くて良い環境で仕事もプライベートも楽しみたいという方が増えてきました。
部屋選びも『利便性』から、『その環境で何を得られるか』に少しずつ変わってきているように感じます。
 
空室に悩むオーナーの多くは、新しい設備の導入さえすれば入居率が改善されると考えたり、管理会社に言われるがまま賃貸条件を下げたりしています。
しかしこれからの時代を生き抜くためには、もっと基本的な部分を改めて押さえておくことが大切です。
 
本記事では、『空室に悩むオーナーの共通点』と、もし皆様のお客様が空室に悩んだとき、安易に賃貸条件を下げたり最新設備に投資したりする前に試してほしい『空室対策チェックポイント』をお伝えいたします。
今回のアドバイスは、不動産の専門家ではなくてもできることですので、顧客に不動産オーナーがいらっしゃるという方はぜひ読み進めてみてください。
 
本記事のポイントはこちら。

・空室に悩むオーナーの5つの共通点
①賃貸募集の図面を見たことがない ②管理会社に任せっぱなし ③物件に1年以上行っていない ④空室対策の情報は豊富だが、何も行動に移していない ⑤現在やこれまでの入居者の属性などを知らない
 
・空室に困ったときの5つのチェックポイント
①募集図面を確認 ②どのような人に選ばれてきたのか調べる ③物件のアピールポイントを考える ④入居者目線で改善点を探す ⑤募集条件を再検討する
 
・住んで得られる価値を伝えられていなかったり、その部屋がどのような属性の方に好まれるのかが分からなかったりする場合は、闇雲に設備投資しても的外れな対策になる可能性がある。

 
 

 空室に悩むオーナーの5つの共通点

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これまで、賃貸経営をしているオーナー様からの空室相談をたくさん受けてきましたが、空室に悩むオーナーには5つの共通点があります。
 

 ①賃貸募集の図面を見たことがない

新築当初のアパート全体の募集図面は見たことがあっても、お部屋ごとの募集図面を見たことがないオーナーが多いのです。
特に、管理会社に募集活動を任せているケースです。
 

 ②管理会社に任せっぱなし
 放任している

空室の募集や対策、入居者の対応や情報管理、原状回復工事などにオーナー自身はほとんど関与せず、全て管理会社に任せているのです。
賃貸経営において、放任は危険です。
 

 ③物件に1年以上行っていない

過去に、「物件には何年も行っていないから、現地がそんな風にひどい状況になっているなんて知らなかった」と仰るオーナーもいました。
 
管理会社に管理を委託していれば、毎月の管理報告書と一緒に物件写真が送られてくることもありますが、これで満足していてはダメです。
 
物件は、当然ながら『借りている人が住んでいるところ』ですよね。
常に住みやすい環境を維持するためには、現地の様子はやはり直接見るなり、動画で確認するなりといったことが必要ではないでしょうか。
 

 ④空室対策の情報は豊富だが、何も行動に移していない

セミナーや書籍、オンラインサロン、インターネットなどから情報を入手しているオーナーは多いです。
しかし、実際に行動に移している方は少ないのです。
 
なぜかと言うと、『その対策を実行してよいのか判断がつかない』からです。
 

  ⑤現在やこれまでの入居者の属性などを知らない

空室対策で重要なのは、『ターゲットは誰か』ということです。
 
年齢、性別、学生、社会人、自転車等の利用有無などの情報は、そのターゲットを絞り込むためにとても重要な役割を担うのですが、管理会社にその情報を預けっぱなしでいては知る由もありません。
 
 
賃料収入が減り、借入金返済や生活費に困るようになってからご相談にいらっしゃるオーナーさんは、決まって上記の5つのどれかに該当しています。
 
 

 設備投資にお金をかける前に確認したい
 5つのチェックポイント

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もし皆様のお客様が先ほどの共通点に当てはまっている不動産オーナーである場合、住んで得られる価値を伝えられていない、ターゲットを分析できていない、という状況です。
これでは闇雲に設備投資しても、需要と供給がマッチせず無駄な投資になる可能性があります。
 
設備投資にお金をかける前に、次の5つのステップをチェックしましょう。
 

  ①募集図面を確認する

募集図面は、物件の情報や魅力を伝える重要なツールです。不動産会社が作成した募集図面は、必ずオーナーも確認するようにアドバイスしましょう。
 
募集条件が正しく表示されているかはもちろんのこと、どんな表現を使っているかにも注目です。
 
例えば、よく「閑静な住宅街」と書かれている図面がありますが、「車の通りが少なく夜は静かです」と書かれている方が、読み手はイメージがしやすいです。
 
図面に使う写真も重要です。暗いものや、不鮮明な写真を使っていないかを確認しましょう。
また、中には管理会社が勝手に募集条件を加えているケースもあります。
 

  ②どのような人に選ばれるのかを調べる

新築当初から現在に至るまで、入居者の性別や家族構成、年齢層など、これまでどのような人に住んでもらってきたかを確認しましょう。
契約者本人や同居人などの情報は、賃貸借契約書や申込書で確認することができます。
 
お客様が所有されている物件はこれまでどんな人に選ばれたのかという情報をもとに、ターゲットを設定して戦略を練るのです。
 
もし女性の入居者が多かった場合は、思い切って女性専用の物件にするのもいいですね。
例えば『住むと綺麗になる部屋』をテーマにすれば、三面化粧台やナノイオンドライヤー、風呂釜を広くする、入浴剤を定期でプレゼントするなど、ターゲットである女性が喜ぶものを用意することができるのではないでしょうか。
 

  ③物件のアピールポイントを考える

その物件に住むことで、どんな生活を送ることができるかをお客様の目線で考えてみましょう。
 
例えば、「近くの大きな公園にはランニングコースがある」と書かれていれば、ランニングに興味がある人や健康志向の人は興味を持つかもしれません。
「○○な飲食店が近くに多くある」と書かれていれば、グルメな人に興味を持ってもらいやすいかもしれません。
 
このように、その物件に住むことによって得られる価値は何かを考え、伝えられるようにする必要があります。
 

  ④入居者目線で改善点を探す

募集図面や募集条件でせっかく興味をもってもらって内見まで漕ぎつけても、部屋に清潔感がなかったり、生活しづらそうな印象を与えてしまったりするとがっかりされ、選択肢から除外されます。
 
まずは、当たり前のことをするのです。
窓を開けて換気をする、物件の魅力ポイントを書いたカードを掲示する、スリッパやメジャーを用意する、共用部の清掃が行き届いているか確認する、など、オーナー自ら定期的に物件を訪問して内見者を気持ちよく迎えられるようにアドバイスしましょう。
 

 ⑤募集条件を再検討する

敷金や礼金は、周辺の類似物件と比較してどうでしょうか。
例えば礼金をゼロにすると、一時的な収入は得られませんが、なによりも優先すべきは入居者の確保です。
空室状態が長く続けば続くほど、その期間のその部屋の収入はゼロなのですから。
 
また、『入居者に長く住んでもらう』ということも、空室対策には必要な視点です。
 
長く住んでくれている入居者や滞納のない入居者には、更新料の免除やエアコンの交換などの特典をつけることで、更新のタイミングでの退去を阻止できる可能性があります。
 
 
それでは、これらのポイントを実行して慢性的な空室を解消したオーナーさんの実例をご紹介しましょう。
 
 

 空室コンサルティング実例

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家 族:父79歳、母75歳、娘Aさん(相談者)45歳、娘の子の4人家族(同居)
資 産:賃貸マンション兼自宅(10階建)
 
相 談:
・全26戸中、6戸が常時空室状態。
・借入金返済が重くのしかかり、今後の建物改修費などを捻出できるか不安。
・家賃を相場以下に値下げするほかないと管理会社から言われているが、これまでも試してきたが決まらず、自分たちでは何をどのようにしたらいいのかわからない。
 
マンション管理の現状:
・地元の管理会社に入居者募集等を委託していて、連絡窓口はお父様が担っている。
・帳簿は娘Aさんがつけており、毎月収支がひっ迫していることに不安を抱えている。

 
 
対象不動産は東京都内にあり、JR線や他の私鉄も乗り入れしている最寄駅から徒歩4分。
アクセスには何ら申し分のない立地環境だったので、ご相談を受けた私は「6戸もの空室はちょっと多すぎるな」という印象を受けました。
 
収支改善コンサルティングのご依頼をいただき、いくつか気になったことがあったのでご家族に聞いてみました。
 
「募集図面を見たことはありますか」
「物件の魅力だなと思うところを教えてください」
「これまでどのような人たちが住んできましたか」
「賃料を下げる以外の賃貸条件変更はしましたか」
「内見対応はどのようにしていますか」

 
ご回答は、募集図面は新築の時以来見た記憶がなく、内見方法も知らない。管理会社からは賃料や敷金礼金の減額以外の条件変更の提案を受けたことがないとのこと。
 
物件の魅力については、病院や商業施設がすべて徒歩10分以内にある。大きな公園が近くにあって池もあるのでランニングすると気持ちがいい。バルコニー側が区立公園なので陽当たりが良い、などたくさんありました。
 
そして、こちらが実際の募集図面です。
 

 
Aさんに見せてみたところ、「えっ!?女性限定じゃないよ!」「家賃保証に入ることが条件だなんて知らない…」など、かなり驚いた様子でした。
これまで管理会社に任せきりにしていて、募集条件を把握していなかったのです。
 
 
まず私がお伝えしたのは、「現状の募集図面では、部屋を探している人に対して物件を全くアピールできていない」ということです。
物件をアピールし、興味を持たせ、内見してもらわない限り、空室が埋まるはずがありません。
 
賃貸募集においてまず大切なことは、探している人の《選択肢》に残ることです。
 
こちらは、効果的な募集図面の例です。
 

 
募集図面を比較してみて、皆様はどちらの図面の物件を内見したいと思いますか?
 
このように、募集図面を『住むことで得られる価値をイメージさせる』ものに変えたことで、物件イメージを掴みやすくなったため、お問い合わせが増えました。
 
内見も『お客様を迎え入れる』という考えを持ち、必要な内見グッズを揃えるなど環境を整え、できることはすぐ実行し、一歩一歩着実に進めることで成果を得ることができました。
 
その結果、約3ヶ月で空室だった6部屋全てが埋まったのです。
 
 
「ただ募集するのではなく、物件をしっかりアピールできているかなどに意識を向けることが大切だと分かりました」
他人任せではダメですね。会社の経営と同じで、計画を立てて実行することが大事なんですね。これからは自分たちでも考える癖をつけていきます」

 
Aさんご家族からは、このようなお言葉をいただきました。
 
収益を上げるための意識や行動の改善ができたことで、Aさんご家族は数年たった今でも順調に賃貸経営ができています。
 

 不動産のプロではなくてもできる、押さえるべきポイント

 

・お客様が、『空室に悩むオーナーの5つの共通点』に当てはまっていないか、ヒアリングしてみる。
・直近5年分の確定申告で収支の流れを確認する。
・新築時から現在までの入居者情報を整理する。

 
上記のポイントは、不動産の知識がなくてもできることですが、空室対策をする上でとても重要な情報です。
ぜひ皆様のお客様にお伝えいただき、アドバイスしてみてください。
 
 

 遺産相続コンシェルジュより

 
本記事のポイントはこちら。

・空室に悩むオーナーの5つの共通点
①賃貸募集の図面を見たことがない ②管理会社に任せっぱなし ③物件に1年以上行っていない ④空室対策の情報は豊富だが、何も行動に移していない ⑤現在やこれまでの入居者の属性などを知らない
 
・空室に困ったときの5つのチェックポイント
①募集図面を確認 ②どのような人に選ばれてきたのか調べる ③物件のアピールポイントを考える ④入居者目線で改善点を探す ⑤募集条件を再検討する
 
・住んで得られる価値を伝えられていなかったり、その部屋がどのような属性の方に好まれるのかが分からなかったりする場合は、闇雲に設備投資しても的外れな対策になる可能性がある。

 
空室問題に特に強い危機感を感じているのは“子世代”です。
親世代は、不動産はいわゆる『不労所得』といわれ特に労せず収入を得ることができましたが、人口が下り坂の現在の日本では、賃貸経営にも厳しい環境を生き抜く力が求められています。
 
不動産についてよく知らなくても、できることはたくさんあります。
お客様の大切な資産をより良い状態にするため、一緒に取り組んでいきましょう。(記:松尾企晴)
 
 

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この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。
会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から信頼を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

 

 

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