住み慣れた自宅を離れたくない!でも資金が欲しい!そんなお客様への売却提案

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住み慣れた自宅を離れたくない!でも資金が欲しい!そんなお客様への売却提案写真

2024.6.30

 
テーマは「自宅の売却」です。
 
特に親の代から子どもの代まで、長く住めば住むほど自宅に対する思い入れあり、同時に住み心地の良さを感じるものかと思います。
 
ここに自宅売却の難しさがあり、なかなか売却できず空き家が増えてしまっている一つの原因にもなっています。
 
今回はそんな自宅の売却を決断したお客様の事例を取り上げて、
そのお客様の選択肢から決断した想いまでをお伝えし、皆様のご提案のお役に立てたらと思います。
 
<本メルマガのポイント>

・自宅を売却する際の理由を明確に把握する
・自宅売却の方法を洗い出し、状況にあった売却方法を提案する
・リースバックとリバースモーゲージの違いを理解する

 

 お父様に相続発生。お客様の相談内容

 

<お客様の概要>
■家族構成:お母様:85歳、長男様:54歳、長女様:52歳 
■お母様:世田谷区にある賃貸併用住宅に一人暮らし
(鉄骨造2階建、総戸数20戸、1,2階の一部を自宅として使用)
お子様:お母様宅から車で30分程のところ
定期的にお母様の様子を見に行っている
■人気駅の徒歩5分の駅近立地で、常に満室稼働
■築年数が古く(築35年)、管理や修繕の頻度や費用が増えてきた
■お母様が不動産の管理判断をできなくなってきているため、子は心配

 
私はお父様の遺産の分割相談を受けたことがきっかけでお会いしました。
 
賃貸併用住宅(借入残債あり)と法人所有の借地権アパート(株式)、現金があり、
遺産分割は話し合いの結果、使用出来る特例や不動産管理を考慮して、以下のようになりました。
 

遺産分割内容
・お母様:賃貸併用住宅と現金一部(生活と不動産管理に最低限必要な現金)
・お子様2人:上場株と現金一部(上記残り)

 

 
※併用住宅の土地評価が大きかったため小規模宅地の特例での評価圧縮。
生活費や不動産管理に係る現金を残しつつ、その他を子どもで分ける形を取りました。
 

 自宅の問題が浮上

 
遺産分割協議が終わりしばらくたったある日、ご家族から連絡がありました。
 

<ご相談内容>
■お母様を心労から解放させたい
隣地とのトラブル対応(樹木や壁の越境問題)
不動産管理の経験が少ないため、管理会社とのやり取りがスムーズにいかない
■建築借入返済が残っていて、将来的に収入が減って払えなくなるのではと不安がある
■不安や悩みは尽きないが、お母様は今の家に住み続けたい

 
お母様の願いを叶えつつ、どうしたらいいでしょうか?というご相談でした。
特にお母様の長く住んだ自宅に住み続けたい要望は強く、この想いを前提に考える必要がありました。
 
以下のような手段(他手段は割愛)があることをお伝えしました。
 

手段
①元気なうちに家族信託を締結する
②リースバックで併用住宅を売却しそのまま住み続ける

 

 家族信託で心労から解放

お母様に代わりに家族が賃貸借契約や物件管理(や売却など)の実務や法律上の手続きをすることができる仕組みです。
 
家族信託契約の内容は、お母様の財産(賃貸併用住宅や一部現金)を子どもが代わりに管理するスキームを考えました。
こうすることにより、お母様は管理や近隣対応などの大変な作業から解放され、子どもたちが所有者の立場として対応できるようになります。
 

 

 リースバックで売却し、家族全員が管理負担から解放

不動産の管理は、お母様だけでなく子どもも大の苦手でやりたくないという気持ちがあり、
家族信託以外の別の手段を検討することになりました。
 
最近、テレビCMや雑誌などでよく見かけるようになったリースバックです。
 
リースバックとは自宅を売却してもそのまま住み続けられる手段です。
 
ご自宅等を売却することで資金が手に入り、その後は賃借で家賃を支払うことで、今の生活は変わらず住み続けることが出来るようになります。
 

※リースバックの仕組み
 
このリースバックを選択することにより、このご家族には以下のようなメリットが出てきます。
 

<リースバック選択のメリット>

・お母様が今の自宅に住み続けられる(賃貸借契約の締結が必要)
・所有権が第三者(買主)に移転するため、管理等の手間や不安が無くなる
・所有することによる出費(固定資産税や管理費など)を少なくすることが出来る
 ⇒賃料の負担は新たに発生する
・借り入れ返済の心配がなくなる
 
※デメリット:代々の土地を手放してしまうこと、安定収入がなくなること など

 
話し合いの結果、上記のデメリットを加味したとしても、リースバックで進める方向で話がまとまりました。
 
お母様の「手放すには気持ちの整理が必要だったけど、これで子にも迷惑かけず、安心して生活が出来る」という言葉が印象的でした。
 
現在は、リースバックでの売却が完了し、ご家族が安心した生活を送られています。
 

 リースバックに似たリバースモーゲージ

 
お客様からよく聞かれるのは、「リースバックとリバースモーゲージと何が違うの?」という質問です。
簡単にまとめると、以下のようになります。
 
■リースバック
・売却(所有権移転しない)して一括で資金を得る⇒賃借して住み続ける仕組み
・対象物件が幅広く、戸建てやマンション以外でも活用できる
・所有権を手放すことになる
 
■リバースモーゲージ
・不動産を担保(所有権移転しない)にして融資を受取り住み続けます。
 最終的には、売却して返済する仕組み
・売却するまでは、所有権を手放さなくてすむ
・資金の使途が生活費やリフォーム等に限られることが多い
 

※リバースモーゲージ仕組み
 
上記のように、リースバックは不動産取引ですが、リバースモーゲージは融資を受ける金融取引となります。
どちらが良い悪いではなく、お客様の状況や考えによって選択、手案することが望ましいかと思います。
 
こうした売却の手法を多く知ることで、お客様の不動産相続の問題点に多く気付き、
提案することが出来るようになるのではないでしょうか。
 

 まとめ 遺産相続コンシェルジュより

 


今回のポイント
・自宅を売却する際の理由を明確に把握する
・自宅売却の方法を洗い出し、状況にあった売却方法を提案する
・リースバックとリバースモーゲージの違いを理解する
 
自宅の相談を受けると、何かしら対策を講じたいけれど歴史や想いなどがあり、手放すなどの行動に躊躇してしまうお客様ばかりです。
 
売却オンリーの提案ではなく、リースバックやリバースモーゲージ、家族信託など様々な手法を用いて、お客様の想いに沿った自宅対策提案を心がけています。
 
もしお困りのお客様がいらっしゃいましたら、ぜひご相談下さい。
 

(記:友重孝一朗)
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