生前の相続対策、親子で考えが異なったらどうする!?プロサーチが解決できたポイントとは

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生前の相続対策、親子で考えが異なったらどうする!?プロサーチが解決できたポイントとは写真
2022.9.30

 
不動産や相続の専門家である皆様はよくご存じだと思いますが、相続対策成功の秘訣の一つに、『親と子がしっかり話し合いながら進めていく』というものがあります。
 
親に残してほしいもの、生前に処分しておいてほしいもの、子同士で揉めないように財産を分けやすいようにしておいてほしい…など、相続対策を考える際には、相続する側の子の気持ちや考えを確認することが大切だからです。
 

親:思い入れのある不動産(特に自宅)は手放したくない
子:手放してでも対策して欲しい
 
親:代々残してきた土地を子どもたちにも引き継いでほしい
子:なるべく手間や負担の掛からない資産をもらいたい

 
このように、例え血の繋がった親と子であっても、生活環境や考え方が違うなんていうのはよくあることですよね。
そしてその『それぞれの気持ち』は、当然ながら言葉にしないと伝わらないものです。
 
今回は、不動産相続対策について親子で話し合いをしたけれど、親と子の考えが異なった場合に、不動産や相続の専門家はどのような視点をもって取り組めばよいのかを実際の事例を用いてお伝えいたします。
 
本記事のポイントはこちら。

・子の気持ちを確認しないまま親が勝手に相続対策を進めてしまうと、子の希望を無視した本末転倒な対策となってしまうことがある
 
・親と子それぞれの気持ちのヒアリングだけではなく、考えられる有効活用パターンごとのシミュレーションを作り、選択肢を提示する
 
・不動産の相続対策は、相続前と後のことも含めて検討する

 
 

 相続対策でいつも問題になるのは不動産!?

不動産
相続対策を考える上で一番骨を折る財産と言えば、やっぱり“不動産”です。
 

不動産が大変だと感じる理由の一例
・分割しにくい(お金のように1円単位で分けるのは困難)
・相続税評価額は計算できるが、実際に売れる時価は分からない
・共有で遺産分けするのは楽だが、持ち方を巡って共有問題へ発展することがある
・ちゃんと管理できるかなど、相続の後のことも考えないといけない(管理の手間や費用負担など)

 
不動産を使った節税対策をしたいというだけであれば、遊休土地にアパートを建てたり、区分マンションや小口化不動産等を購入したりすればその効果を得られるので、簡単に不動産相続対策をした気になれます。
 
しかし、不動産の相続対策はそんなに簡単ではありません。
 
その不動産を購入・建築などしたことによって相続税を納めるためのお金が無くなったり、子に不動産は要らなかったのにと言われたりと、親が本末転倒なことをしてしまっているケースがあるからです。
 
『1+1=2』のように誰にでも分かる計算式があればいいのですが、不動産はそうはいきません。
 
例えばお客様の財産構成や相続人の数は同じ事例があったとしても、もちろんそれぞれ考えも違うので対策は十人十色。
相続が絡むときは特に、不動産は単に売ったり買ったり建てたりすればいいというわけではないので、専門家の皆様も苦慮されているところではないでしょうか。
 
 

 参考事例

事例
それでは実際に、私が携わった相続対策の事例を紹介いたします。
 
 

~家族構成と財産・ご相談内容~
・家族:母85歳、長女60歳、次女57歳(母と次女が同居)
・財産:賃貸併用住宅と築古アパート、金融資産(相続税評価:不動産1億5千万円、現金5千万円)
・相談:相続対策を進めたいが、母と相続人(長女・次女)同士の意見が合わず、どうしたらいいか分からない

 
 
 
紹介者は生命保険営業のAさん。
「親子で話し合いをしてみたようだけど、お互い言いたいことばかり言っていつまで経っても前に進んでいない状況なので、どうにかして欲しい」というAさんからのご相談をキッカケにお会いすることになりました。
 

 親と子の想いや考えのヒアリング

早速、親と子の個別にお話を伺い、相続に対する考えなどを確認しました。
 
それぞれの考えは以下の通りです。
 

◆親(母)の想い
 ⇒住み慣れた場所を離れたくない(自宅に住み続けたい)
 ⇒アパートも賃貸併用住宅も売らず、とにかく現状のままがいい
 
◆子(娘たち)の想い
 ⇒なるべく負担のないものを残して欲しい(借金は残さないでほしい)
 ⇒古いアパートだけでも今のうちに処分したい!(不動産会社からの売却提案あり)

 
このように、母は「現状のまま残したい」子どもは「売却したい」と対策への考えが異なり一向に方向性が定まらないため、どのようにすればいいのか分からず途方に暮れていました。
 

 不動産(賃貸併用住宅・アパート)の問題点

ご家族の想いの確認と並行して、不動産についての調査とヒアリングを行いました。
すると、いくつかの問題が見えてきました。
 

・アパートの半数が入居者募集もせずに空室のまま
 ⇒築45年と古く、大規模修繕をするか建て替えるか現状維持するか、活用方法に悩んでいる。
 ⇒活用の方針が決まっていないため空室のままになっている。賃貸収入は減る一方。
 
・増築により賃貸併用住宅が違法建築物になっている
 ⇒増築した部分が建築基準法違反の状態である。(建蔽率、容積率オーバー)
 ⇒違法建築物のままだと価値(売却価格)が下がる。

 

 対策提案のポイント

不動産調査を終えたところで、アパートの査定や見つかった問題点を指摘するだけでなく、その前に押さえておきたいポイントがあります。
それは『考えられる手段と、その数値検証(シミュレーション)』です。
 

提案シミュレーション

ヒアリングの段階で、ご家族は『不動産に関してはどのように活用したらいいか分からない』という状況でしたので、【現状できる対策(=相続前)】【将来できる対策(=相続後)】に分けて提案することにしました。
 
これにより、さらに効果的な活用のタイミングを知っていただくことができます。
 
いったん想いや気持ちは置いておいて、考えられる手段を出します。
このとき、『全部売却して他の財産へ組み換える』といったような、極端な内容のシミュレーションも加えます。
 
 
<有効活用手段の洗い出し>

 
 
<シミュレーション>

 
上記のシミュレーション結果を見ると、アパートを今すぐに単体で売却するより、将来的に賃貸併用住宅と一緒に活用や売却をしたほうが、得られる手取りが多くなるということが分かります。
 
【補足】
本事例においては、アパートのために築道した私道(2項道路)を廃道にして宅地部分とすることにより、建築できる部分(≒有効宅地面積)が増えるので売却価格が上がる、など多くのプラスメリットがあります。

 

 遺産分割に対する気持ちの整理

これらを踏まえて改めてお母様のお考えをヒアリングしたところ、不動産は残したいというお気持ちに変わりはない様子で、自分が亡くなった後は、不動産は好きにしていいと仰っていました。
 
シミュレーション結果を見た娘さんたちは、アパートを今売るのはやめて、将来的に賃貸併用住宅と一緒に活用/売却することがより効果的であると理解されたようです。
 
結果、『現状維持』とし、お母様のご相続発生後に全体を活用していくことになりました。
 
 
そして、その時までの不動産の修繕や管理についても、約束事を決めました。
 

・大規模修繕はせず、建物防水など最低限の維持管理をする
・将来の活用に備えて、定期借家契約で空室募集する(立ち退きをラクに)
・母の意思判断能力が低下した際の予防策(家族信託契約の締結)

 
不動産会社からの売却提案をそのまま鵜呑みにせず、他にどのような手段・可能性があるのか冷静に分析することが重要です。
事例のご家族は不動産の現状把握や各シミュレーションの確認を行ったことで、話し合いがずっと平行線だった状態から母も子も一歩踏み出すことができ、現在では親子二人三脚で対策を進めています。
 
 

 遺産相続コンシェルジュより

 
本記事のポイントはこちら。

・子の気持ちを確認しないまま親が勝手に相続対策を進めてしまうと、子の希望を無視した本末転倒な対策となってしまうことがある
 
・親と子それぞれの気持ちのヒアリングだけではなく、考えられる有効活用パターンごとのシミュレーションを作り、選択肢を提示する
 
・不動産の相続対策は、相続前と後のことも含めて検討する

 


不動産仲介会社が売却提案を中心にすることは、売買仲介が彼らの仕事ですからある意味当然のことです。
 
ただ、売却提案しかない状態だと他の手段との比較検討ができず、結果的にお客様やそのご家族が悩み続けてしまい、次のアクションが打てなくなるのです。
さらには、そのご家族にとってもっとうまく財産を残せる可能性すら消えてしまいます。
相続や不動産の専門家としては、まずしっかりと現状分析を行った上で、よりよい選択肢をお客様へ提供したいですよね。
 
プロサーチでは、売却のみに誘導せず、公平な視点で各種シミュレーションを提案することが可能です。
不動産の方向性で悩んでいるお客様がいる、これから提案をしたいと思っているという専門家の方は、ぜひお気軽にご相談ください。(記:友重孝一朗)

 
 

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