家族信託の費用は本当に高い?家族信託した人としなかった人の費用を徹底比較

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家族信託の費用は本当に高い?家族信託した人としなかった人の費用を徹底比較写真

2021.2.16

 
 
「専門家に払う家族信託報酬って高くない!?」
「高いお金を払ってまでの必要性を感じない。家族信託って本当に必要?」
 
たしかに東京都内にある土地30坪くらいの一戸建てでも数十万円もかかりますし、これがアパートだったり、ビルだったり、何棟もあったりとすると、200万円以上かかることも。金額だけ見ると家族信託報酬って高いですよね。
 
しかし、報酬を高いと感じ止める方がいる一方、高額な費用を払ってでも家族信託を締結する方がいます。さて、両者の違いは何でしょうか。
 
本記事では、家族信託をした場合としなかった場合を比較し、将来どれだけ負担に差が出るのかお伝えします。
 
 
今回のポイントは以下の通りです。
 

・2021年現在の専門家に支払う家族信託報酬の相場は、相続税評価額3,000万円の実家を信託した場合で総額70万円~80万円ほどかかる。
 
・家族信託の報酬体系は、コンサルティングと信託契約書作成報酬の2つで構成されている。
 
・家族信託をせず意思判断喪失・相続発生してしまうと、家族信託をした場合と比べ、税金や費用に数百万も差がつく場合もある。
 
・家族信託は保険のようなもの。早めの対策と長期的な視点で検討することが後々の後悔を回避するポイントである。

 
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家族信託の報酬

 
家族信託を取り扱う専門家が増え、やっと“報酬の相場感”が掴めるようになってきました。
本題に入る前に、報酬体系を確認しましょう。
 
報酬体系は、大きく2つで構成されています。
 

1.コンサルティング報酬
2.信託契約書作成報酬

 

1.コンサルティング報酬に含まれる内容
・家族関係、信託する財産の確認
・信託目的の確認
・家族信託の制度設計
・法律専門家への説明、指示

 

2.信託契約書作成報酬に含まれる内容
・上記情報について確認
・契約書作成
・関係者への契約内容説明
・公証人への説明(公証契約とする場合)
・契約締結

 
大雑把な項目ですが、多くの専門家が提供している家族信託サービスに当てはまるものだと思います。
 
気になる報酬金額は次のとおり。
※専門家へ聞き取りした範囲です。異なる報酬体系の専門家もいますのであくまでご参考値としてください。
 

1.コンサルティング報酬(税理士、司法書士等の専門家、FP、不動産コンサル等)
・最低報酬額 10万円
・財産額3,000万円~1億円の場合 報酬額30万円~50万円
・財産額1億円~2億円の場合 報酬額70万円~

 

2.信託契約書作成報酬(司法書士、弁護士)
・最低報酬額 30万円
・財産額3,000万円~1億円の場合 報酬額30万円~50万円
・財産額1億円~2億円の場合 報酬額70万円~

 
 
例えば、相続税評価額3,000万円の実家を家族信託する場合は、1と2の報酬を足して30万円+30万円の合計60万円くらいになるでしょう。これに別途、公証役場への報酬や登録免許税等がかかるので、総額70万円~80万円ほどかかります。
 
最近は、「家族信託パック商品」が流通し始め、上記1.2の業務報酬を総額30万円(税金等は別途)で提供するところもでてきました。お客様にとっては良い傾向ですが、それでも最低30万円はかかるというのが現状のようです。
 
 

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費用の比較


 
一戸建てのみを家族信託するだけでも70万円かかる・・・。報酬額だけ聞くと高く感じて、私なら躊躇してしまいます。
 

しかし、70万円と聞いて家族信託の検討を止める前に知っていてほしいことがあります。
 
それは、早めの対策と長期的な視点で検討することが後々の後悔を回避するポイントだということです。
 

ここでは、家族信託の目的によく挙げられる「親が認知症になって施設に入所したら、空き家になった親名義の一戸建てを売却する」ということを前提にお話ししていきます。
 

前提条件
・空き家状態の、昭和60年築の一戸建て
・母一人暮らしだったが、介護施設へ入居した(父は数年前に他界)。
・子は、施設入居金や月額賃料支払いのため、家を売却して資金捻出したい。
・お母様は施設入居後に認知症発症。その時から相続までの期間は10年間。
・子は実家から離れて暮らしているため、家の管理は空き家管理会社に月1万円で委託。

 
元気で健康なときに実家を売却できれば問題ありませんが、認知症等で意思判断能力が喪失してしまうと、家を売れなくなるなど大きな問題へ発展することがあります。
 
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それでは、“お金”にスポットを当ててこの事例を説明します。
 

 家族信託をしていなかった場合

 

前提条件のまま、家族信託をせずにお母様が意思判断能力を喪失すると
1.家を売れなくなるので保有継続する。
2.お母様のご相続発生後に、家を売却する。

 
 
1.保有継続の間、固定資産税や維持管理費などを負担
・固定資産税:年間10万円×10年で100万円
・維持管理費:年間12万円×10年で120万円
・火災保険料:年間6万円×10年で60万円
 →合計280万円・・・(1)
 
2.家の売却(相続発生後)
価格3,500万円で売却完了した場合
 
価格3,500万円
経費 ▲500万円(仲介手数料や購入時費用で500万円とします)
利益3,000万円(価格−経費)
 
この利益に対して、約20%の譲渡に対する所得税等がかかるので、3,000万円×20%=600万円・・・(2)
この600万円を税金として支払う必要があります。
 
以上のことから、(1)280万円+(2)600万円、合計880万円が維持管理や税金でかかってくることになります。

 
 

なお、相続後の空き家の実家売却で税金が安くなる特例がありますが、この事例では使えません。その理由は家の築年数です。
詳しくはこちらの記事参考してください。
 
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 家族信託をしていた場合

 

それでは、家族信託をした後にお母様が意思判断能力をした場合はどのようになるでしょうか。
 
 

1.売却するまでの間だけ保有継続する。(税金・維持管理費)
2.ご相続発生前でも、家を売却することができる。

 
 
1.固定資産税や維持管理費などの負担・・・認知症発症から半年後に売却完了した場合
・固定資産税:年間10万円×半年分(50%)=5万円
・維持管理費:年間12万円×半年分(50%)=6万円
・火災保険料:年間6万円×半年分(50%)=3万円
 →合計14万円
 
2.家の売却・・・価格3,500万円で売却完了した場合
価格3,500万円
経費▲500万円(仲介手数料や購入時費用で500万円とします)
特例▲3,000万円(※居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除)
利益0万円(利益0のため、税金の支払いはなし)
 
 
表にまとめるとこのようになります。
 

家族信託しなかった場合
家族信託した場合
家族信託費用
0円
70万円
維持費用負担
280万円
14万円
売却税金負担
600万円
0万円
負担総額
880万円
84万円

 
                   
この結果をみると、家族信託をしていた方が約800万円も総合的に支払うコストが安く済みますね。家族信託報酬の70万円を高いと言えるでしょうか。
 
(※居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の適用要件の一つに、住まなくなってから3年を経過する日が属する年末までに売却するという条件があるので注意が必要です。)
 
 

家族信託とは保険のようなもの


 
事例で取り上げたような実家の売却については、親の意思判断能力が喪失し、すでに手遅れになっている状態でのご相談が多く、「もっと早く相談に来ていただければ…。家族信託をもっと早く知れていたら…」と思うことがあります。
 
この記事を読んだ方は、「万が一のときのために家族信託をしておくと、実家の売却で数百万円もコスト減になる」と、親や子どもに伝えて興味をひかせて一日でも早く検討していただきたいです。
  
もちろん、実家の売却だけではなく【遺産分割、相続税の納税、相続税節税】などの相続対策で不動産を売却や購入する方も同等以上の金銭的効果を得ることができますし、何より、親の意思判断能力が喪失したとしても、相続対策を子や家族で続けることができます。
 
このように家族信託は親の意思判断能力が喪失しても財産管理が出来るのが特徴ですが、高い報酬を支払って家族信託組成しても、親が意思判断能力が喪失せず、ずっと元気なままなこともあります。
 
「元気なうちは家族信託しなくてもいいだろう。ボケそうになったら検討するよ」
 
これを自動車保険や生命保険に言い換えると、
 
「事故しないうちは自動車保険加入しなくてもいいだろう。事故になりそうになったら検討するよ」
「死なないうちは生命保険加入しなくてもいいだろう。死にそうになったら検討するよ」

 
家族信託も保険も、その状況になったら手遅れですし、事故等の瞬間に保険加入手続きは出来ません。それが分かっているから、いざそうなっても困らないように、元気で健康なうちに保険加入して対策していますよね。
 
家族信託も考え方は全く一緒です。
意思判断能力を喪失しないかもしれないけど、保険と同様に家族が困らないように、元気で健康なうちに、検討し対策しておくべきなのです。
 
 

まとめ

 

・2021年現在の専門家に支払う家族信託報酬の相場は、相続税評価額3,000万円の実家を信託した場合で総額70万円~80万円ほどかかる。
 
・家族信託の報酬体系は、コンサルティングと信託契約書作成報酬の2つで構成されている。
 
・家族信託をせず意思判断喪失・相続発生してしまうと、家族信託をした場合と比べ、税金や費用に数百万も差がつく場合もある。
 
・家族信託は保険のようなもの。早めの対策と長期的な視点で検討することが後々の後悔を回避するポイントである。

 
  
生命保険加入する理由の代表的なものは、「家族が生活費や学費など金銭的なことで困らないように、自分の万一のときは○○万円が家族に届くようにしておきたい」ということだと思います。具体的な問題点と叶えたいことが明確なので、とても高い保険料を払ってでも加入するのです。
 
家族信託でも、「家族が金銭的な負担などで困らないように、家族の判断で家を売って資金確保したり金融機関から自由にお金を引き出せたりできるようにしておきたい」など目的が明確になっていて、「70万円の家族信託報酬はかかるが、組成しておけば800万円も負担減になる」のように、『やることの価値や効果』が分かっていれば、必要性を感じもっと前向きに検討できるのではないでしょうか。
 
家族信託を検討したいという方は、本記事でお伝えした“金銭的な負担減や効果”を検証し、“保険のようなもの”と考え進めてください。この検証や家族信託のことにつきましては、不動産や相続、家族信託のプロに相談するようにしてください。
 
 

家族信託オンラインセミナー開催!


 
もし本人(親)が認知症になってしまったら、現預金の引き出しや、実家を売却するなどの行為が自由にできなくなるのはご存知でしたか?
 
例えば、親の預金口座での生活費の管理ができない、老人ホームへの入所金を確保するため 不動産を売却しようと思ってもできないなど、計画していた今後の生活に支障がでてしまうのです。
 
しかし、認知症になっても計画したとおり安心して財産管理ができ、そして子どもに資金面や財産管理などでの負担を軽くできる対策があります。
 
それが、「家族信託」です。
 
家族で財産を管理する「家族信託」という対策方法をこの機会にぜひ知ってほしいと思います。
 

< お伝えする内容 >
・家族信託とは何か?制度と仕組みを丁寧に解説!
・後見制度との違い ~メリットや留意点~
・実家や空き家、アパートなどの実例から家族信託を知る
・家族信託で財産管理に成功する家族/失敗する家族 ・・・など
 
< ぜひ聞いていただきたい方 >
・本人(親)が70歳以上で、体調面に不安がある方
・自分や家族のために財産管理をしっかり行っていきたい方
・財産管理をそろそろ子どもに任せたい(任せて欲しい)と思っている方
・相続対策を安心して確実に進めたい方
 

 
 

この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

 

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