真に顧客目線に立った不動産活用とは何かを考える

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真に顧客目線に立った不動産活用とは何かを考える写真
2020.11.30

提案事例

今回は都内在住のお客様Aさんに、ご所有の土地の有効活用を提案した際のお話です。
 
最近、再び新型コロナウイルスの感染が拡大してきていることもあり、もしものときのために真剣にご自身の相続対策に取り組む方が増えてきました。
Aさんもそのお一人で、不動産を多く所有しており、今後の土地の有効活用に不安があるご様子。
 
顧問の税理士に相談したところ弊社を紹介され、ご相談に来られました。
 

<登場人物と概要>
登場人物 ・Aさん(女性:76歳)
・お子さん(2人:兄弟、法廷相続人)
ご相談内容 ・自宅近くの約100坪の土地(古家あり)の有効活用
 ⇒建物も古く、管理が不安。空き家になっていて収入も少なく勿体ない
・相続対策(節税や分割対策)をしながら、負担のないものを残していきたい

 
 

 
この約100坪の土地の上には古い貸家が3戸建っていました。全て同時期に建てられており、築年数は50年…。
中央の戸建ては現在も老夫婦が借りていますが、他2戸は2年ほど前に賃借人が退去してから、借り手が見つかっていません。
管理会社からは多額の費用をかけるリフォーム提案が来ており、実行するか悩んでいました。
 
Aさん「古い家でも、ある程度キレイになれば借り手は見つかるだろうし、そうすれば収入も入ってくるからいいだろうか?でも、今後の生活を考えるとなるべく現金は持っていたいし、借り入れするのは子どもたちが不安がっていて…」
 
こんなAさんやご家族の不安を解消し、想いを叶えるためにはどうすればよいでしょうか。
 

現状の問題点の整理

我々は、Aさんの想いを実現するために、現状の問題点を挙げてみました。
 

■問題その①:費用も時間も掛かる

管理会社の見積もりを見てみると、1戸あたりの室内および建物のリフォーム費用は何と500万円!
金額を見ると驚きますが、大切なのはその“提案の中身”です。
確かにこれだけ掛ければ、ある程度キレイになり借り手は見つかると思います。しかしながら、賃料UPまでは望めないでしょう。
さらにリフォームをする間にも築年数は経過し、建物躯体や給排水管などの心配も出てくるしまた費用も掛かる…。
周辺の競合物件との差別化や柔軟な思考がないと、結局再び同じような築古問題に直面することになり、収入は減ったままなのに改修費は増していくという負のループになってしまいます。
 

■問題その②:土地の分筆が必要

現状は、土地1筆の上に、建物が3戸建っています。そのため、1戸当たりの敷地の範囲が不明確になっていました。
この状態で相続しようとすると、例えば、建物は子ども2人がそれぞれ単独で相続したとしても、土地は共有状態。
そのときに起こると考えられる問題として、子どもの内1人が売却しようとしたとき、売却した家屋に相当する敷地を他人(購入者)と共有することに!兄弟での共有ならまだしも、他人との共有は避けたいところです。
 
これらの問題をAさんにお伝えすると、
Aさん「確かにそうですね。これでは何のためにリフォームするのかわからないし、相続の際に子どもたちが困ってしまっては元も子もありません…」
 

プロサーチの提案

今回のケースに限らず、弊社では対応可能な選択肢をいくつか提案させていただき、お客様ご家族のお考えや想いによってお選びいただいています。
 

今回提案した選択肢の一例
【保有継続】
①地域特性を考慮したリフォーム・賃貸プラン
 ⇒音楽家向け住宅、家庭菜園が楽しめる住宅など
②住宅以外の用途で貸す
 ⇒貸し倉庫(1畳単位で貸すなどの事業会社有り)、オフィス(ワーケーション)
【再建築】
③立退きを前提とした土地の一体開発(アパート建築)
 ⇒立退きではなく、中央の戸建ての賃借人に隣の空き家に転居してもらい、地続きとなった空き家2区画を開発することも検討
④土地を分筆後、一部売却しその費用で戸建て賃貸を建築(借入負担を抑えて活用)
【売却して組み換え】
⑤全部売却し、区分マンションや小口化不動産に組み替え(分割しやすい、維持負担軽減)

 
 
上記のプランをAさんご家族に早速提案いたしました。
Aさん「なるほど。リフォームか売却かの選択しかないかと思っていたけど、こんなにも選択肢があったんですね。子どもの意見も聞きながら、家族の考えに近いものを選択したいと思います」
 
後日、Aさん家族で家族会議を開いた結果、Aさんが出した答えは④の一部売却して再建築するという内容でした。
 

 
Aさん「決め手は、売却資金を使って建て替えるので、借入の負担がなく活用が出来ることでした。いくら相続対策になるとはいえ、子どもたちは借金付きの不動産を相続したくなかったようです。
新築になるので空室や修繕の心配もなく、相続後、持ち家のない子どもが住んだりすることも出来るのがいいですね。土地の分筆も出来ているので、将来2人の子どもが分けやすいのもポイントでした。
その分、土地は少し減ってしまうけれど、不安なく土地を残していけるのは嬉しい」
とのことでした。
 
さらに、「中央の戸建てについては、賃借人が退去後に、子どもたちが自分の住む家を建築するか、売却するかを考えるようなので、私の悩みからは解放されました」とも仰っていました。
 
売却の手続きや戸建て建築の業者の選定など弊社にてサポートし、Aさんは気が晴れたご様子でどんどん対策を進めていきました。
そして、Aさんは安定した収入を基に、趣味の旅行の計画を立てるなど楽しみながら豊かな老後を過ごしていらっしゃるようです。
 
今回の事例を通して、我々はプロとして、“その不動産でできることの選択肢を複数持つ”ことがとても大切だと改めて感じました。
不動産のご相談に対しては、売買、賃貸、建築、そして相続や税などあらゆる視点を持って(または、それができるパートナーとタッグを組んで)提案することが求められるのです。
 

遺産相続コンシェルジュより

プロサーチでは、今回のような不動産有効活用の提案のみならず、家族会議や対策後の不動産運用のサポートまで一貫して行うことが可能です。
 
相続・不動産の問題はとても複雑であり、専門的な知識を必要とするため、当事者だけではどうしても解決ができない場面も出てまいります。
そんな時に皆さんの相続のパートナーとしてアドバイスをさせていただき、そして相続の専門家としてお役に立てる存在であり続けたいと思っています。(記:友重孝一朗)
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