悪徳管理会社の卑劣な手口!!賃貸管理委託契約書に潜む罠とは

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悪徳管理会社の卑劣な手口!!賃貸管理委託契約書に潜む罠とは写真
2020.10.30

 
収益不動産の売買を行うとき、売主が依頼していた管理会社との賃貸管理委託契約(以下、「管理契約」という)を解除し、買主指定の管理会社へ変更する手続きがあります。
これは売買仲介会社や管理会社は、売買を一度でも経験したら理解している部分です。
 
今回はこの管理契約を発端としたトラブル事例をお伝えいたします。
皆様のお客様への注意喚起になれば幸いです。
 
 

今回のポイント
・管理契約は、初回はもちろん更新の都度しっかり内容を確認すること
・「オーナーが意見を言える、不利にならない」管理契約とすることが重要
・セカンドオピニオンや顧問を付けたり、公共の相談窓口を利用すること

 

密かに追加されていた管理会社の思惑

 
【登場人物】

Aさん お母様から都内のマンションを数戸相続
管理会社Z氏 管理会社の売買部門、法律無視の不動産屋さん
プロサーチ山内 Aさんの相続と売買の窓口を担当

 
プロサーチでは、Aさんの相続手続きの窓口を行っておりました。
Aさんはお仕事もお忙しい中で、不慣れな賃貸管理をするのも面倒なため、築年数が古い物件は売却して違う資産に組み換えようとご決断され、売却手続きのご依頼も受けました。
 
このときはまだ管理会社の仕組んだことに気付かず、いつも通り売買活動を始めました。
 
 
まずは管理会社との『管理契約の内容』を確認。直近の契約書から見ていくと、驚くべき内容が書いてあったのです。
 

<その契約内容とは>
 
①物件を売却する際には、管理会社が専任として仲介することが必須
②上記①が出来ない場合、契約解除金として賃料2ヶ月分の支払い
③契約期間内に解約する場合、賃料2ヶ月分の支払い
④売買に伴う管理移行手続き費用として賃料1ヶ月分の支払い
⑤告知期間を定めての管理契約解除の条項がない など

 

賃貸管理に馴染みのない方には、これがどれほどヤバい契約内容なのか分からないかもしれません。
上記のうち③の規定は稀に見かけます(大半は、解約予告期間3ヶ月等と規定)。
そうなの!?と思われた方は、ぜひお知り合いの不動産会社さんに聞いてみてください。驚かれると思います。
 
さらに、この内容を管理契約当初からしっかりと面談のうえ説明し、合意のうえであればまだしも(個人への不都合、不利で、信義則に反する内容はNGです!)、原契約にはこれら①~④の記載は一切なく、⑤の予告期間設定がありました。
お母様の意思判断能力が弱まり娘のAさんが連絡窓口になり始めたころ、管理会社から口頭の説明もなく重大な事項が追加されていたのです。
もちろん、この内容についてAさんは全く知りませんでした。
 
管理会社は管理未経験のAさんへのフォローをしないばかりか、『売買仲介』を得るためだけにこのようなことを行ったのです。
 
 
この状況を確認すべく、私は管理会社Z氏へ連絡をしました。しかし、これにもまた驚く返答が。
 
「弊社が仲介できないので、通常解約と違約解除で合計4ヶ月分と管理移行手続き費用1ヶ月分」
「なんだか気持ち的にムカつくので、更に手間代1ヶ月追加して賃料6ヶ月分請求します」

 
まず通常解約と違約解除によるものが同時に請求されること自体が間違えている(解約か解除なのか、通常はどちらかです)、そのうえ、「ムカつくので違約金請求追加」とは?
Z氏の言い分は到底理解できるものではありませんでした。
 
私から報告しようとすると、Aさんは「私にも連絡が昼夜問わず何十回とありました。プロサーチさんが売買仲介の窓口なのでこちらには電話連絡しないで、と言っても、弁護士以外は窓口出来ない(つまり、この世の不動産仲介にはすべて弁護士が必要?)など良く分からないことばかり言ってきました。疲れましたよ」と既に相当数のアクションがあった様子。
一息おき、違約金の内容に加えて、管理会社の対応をお伝えすると「父や母から特に問題がないと聞いていたので。このような管理会社だったら、もっと早く管理契約を切っておくべきでした」と不信感を募らせていらっしゃいました。
 
それからも管理会社Z氏やその上司からの電話連絡が止まらず、Aさんは疲れ果てていきました。
私としてもAさんにこれ以上迷惑をかけたくなく、買主指定の新管理会社にはしっかりと管理移行してもらいたかったため、プロサーチ社内でも議論しました。
管理会社と徹底的に戦っていくと言う案もありましたが、Aさんの収益の最大化(違約金の支払いを無くすこと)へ注力いたしました。
 
そして、居室の鍵や入居者の個人情報など、物件に関するほぼすべての書類や情報を管理会社が保持していることや、Aさんの穏便に終わりたいというお気持ちを踏まえ、管理会社にもメリットのある提案(買主を探していただく)を考えた上で、進めていくこととなったのです。
 
管理会社との打ち合わせを終えた結果、

・違約金6ヶ月⇒無し
・Aさんには今後一切連絡せず全てプロサーチが窓口になること
・売買契約内容はプロサーチ主導とすること

などの条件を付し、売却へ進むことができました。
 

まとめ


ここまで管理会社の非を一方的に責めた内容となりましたが、送られてきた書類をよく確認せずに署名捺印してしまったAさんも、しっかり契約内容を確認しておくべきだったでしょう。
しかし、もし私がAさんだったら(忙しくて目を通す暇もなく、賃貸管理や不動産には詳しくないから契約内容を見てもよく分からない)と思うと、事例と同じことが起きていたかもしれません。
 
この他にも、不動産管理の契約を『費用を支払う側にメリットがある内容だろう』と思い込んでいる方が多く、トラブルのご相談を受けることがよくあります。
 

 *修理の相見積もりができない(管理会社指定の~と規定)
 *他に賃貸仲介を依頼できない(専任で行う~と規定)
 *大規模修繕しないと管理しない(サブリース型に多い)など

 
上記のような契約書の条文には、注意が必要です。
 
 

今回のポイント(トラブル防止!)
・管理契約は、初回はもちろん更新の都度しっかり内容を確認すること
・「オーナーが意見を言える、不利にならない」管理契約とすることが重要
・セカンドオピニオンや顧問を付けたり、公共の相談窓口を利用すること

 
我々の経験上、親から相続で不動産を取得したお客様は、初めて自分で管理運営する方ばかりです。
今回の事例のように、不動産の管理や売却をするにあたり、「担当している不動産会社等がいい加減な対応をしていた」「契約内容を巡ってトラブルが生じた」と言ったケースが散見されます。
 
我々専門家は、『お客様はよく知らないまま、理解は半分程度で不動産に関する契約をしてしまう』ことを可能な限り防ぐ努力をするべきです。
「契約する前に相談してくださいね!」とたった一言伝えておくだけでも、相談先があるとお客様は安心するのではないでしょうか。
 

遺産相続コンシェルジュより

不動産を巡るトラブルで今回取り上げた「管理契約」は、売買などと比べ、専門家からサポートを受けているオーナーが少ないでしょう。
また管理行為自体は宅建業ではないため、悪さを働く業者もいるのです。
 
収益不動産の経営を、収益向上など健全に維持していくことは並大抵の努力では出来ないうえに、それを何十年も継続し続けなければなりません。
管理会社等の「契約」で足を引っ張られることなく、甘い言葉で財産を狙う悪徳ブローカーたちにも邪魔されないように、我々のような不動産や法律、税金に詳しいプロがしっかりと不動産経営のサポートをすることが求められます。
 
プロサーチでは、賃貸管理のセカンドオピニオンも承っておりますので、「この契約大丈夫?」「管理会社からは〇〇と言われているけど、他の意見も聞きたい」などお気軽にお問い合わせください。(記:山内綾子)
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