最新路線価に惑わされない!コロナ禍だからこそ顧客に必要な提案とは!?
7月1日に相続税路線価(以下、「路線価」という)が発表されました。
皆さんご存知の通り、路線価は土地の相続税評価額を算出する指標になりますので、不動産や相続に携わる専門家にとって非常に重要なものになります。
この路線価ですが、昨年1~12月の不動産取引を基準に、今年の1月1日時点での価格を決めているため、路線価が発表される7月1日までタイムラグがあることに注意が必要です。
特に今年は、このタイムラグの間に起きた新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大による不動産市況への影響が、路線価には反映されていないのです。
まずは、今年の路線価について見ていきたいと思います。
前年を上回る路線価上昇率
全国平均は前年より+1.6%となり、5年連続で上昇。(昨年は+1.3%)
また都道府県別にみると、上昇したのは21都道府県で、こちらも昨年の19都道府県より増えています。
下落や横ばいだった26都道府県も下げ幅は減少しており、全国的に強い結果であったと言えます。
上昇した背景として、全国の主要都市や観光地で外国人旅行客数が増加(※2019年の訪日外国人数は3,188万人)したため、那覇市の国際通り(前年比+40.8%)、大阪御堂筋(前年比+35.0%)、浅草1丁目雷門通り(前年比+33.9%)など、主要な観光地の需要が高まり、路線価が上昇したことがあげられます。
また企業の業績アップに伴う雇用の改善が続き、不動産への投資資金が首都圏だけではなく、一部の地方都市に流入したことも背景にあるでしょう。
今年、最も上昇率が高かった都道府県はやはり沖縄です。上昇率は前回の+8.3%を超え、+10.5%と大きな上昇率となりました。
特筆すべきは沖縄の観光客数の推移です。沖縄県内の観光客数は国内外を問わず8年連続で増加しており、それに伴うホテルや観光施設の建築ラッシュや、企業や店舗の業績改善などによって投資が進んできた影響が大きいでしょう。
※都道府県別路線価上昇率
※沖縄県内の観光客数の推移(沖縄タイムズ参照)
東京都の最高路線価から見る変調
日本で一番高い路線価は銀座の鳩居堂前ですが、今年は1㎡あたり4,592万円となり35年連続で全国最高額となりました。
これはなんと、はがき一枚分の大きさで約68万円にもなる計算です。
しかし、このような日本一の土地ですが、上昇率を見ると+2.9%から+0.7%に縮小しています。
この原因としては、観光客は増えていたものの銀座での大規模再開発(GINZA SIX、東急プラザ銀座等)が一巡したことや、ただでさえここ数年はバブル期の最高値(1㎡あたり3,650万円)を大きく超えていることもあり、伸び悩んだことが原因です。
今回の結果から、これまで同様に人や物、お金が集中してきた都市部・観光地と地方との二極化がより鮮明になりました。
しかし、東京都心の地価は頭打ちになってきているため、事業者はより利益の取れる投資場所を求めて地方の観光都市に投資マネーが流入し、地価を押し上げた結果なのではないかと思います。
このような現象は、バブル期やリーマンショック前にも起こっていました。
当時も急激に沖縄への投資が加速し、不動産価格は大きく上昇、その後まもなく不動産市況の崩壊を招いています。
ニュースには出ませんが、沖縄への投資状況を、今後の景気を読む指標(空気感みたいなもの)の一つとしている不動産事業者もいるほどです。
問題は新型コロナの影響
今回の路線価で注意すべき点は、冒頭でも述べた通り、新型コロナの影響が考慮されていないところにあります。
新型コロナの影響により、主要都市や観光地のホテルは壊滅的、店舗ビルでも経営不振による賃料交渉や退去が相次ぎ、収益が減少している状況が続いているため、少しずつ影響が出始めています。
※より詳しい『新型コロナが不動産市況に与える影響』については こちら
緊急事態宣言は解除されたとは言え全国的にも感染者数は日に日に増えており、感染の終息目途が立たない以上、商業地への打撃は計り知れません。(ホテル事業者の不動産マーケットからの撤退による価格下落など)
新型コロナのワクチン開発が待ち望まれますが、来年の春頃になるとも言われており、それまでは不動産価格も不透明な状況が続くかもしれません。
コロナ禍で必要なのは現状把握!?
①路線価の補正
このように今年1月1日時点から現在までの経済状況や不動産市況が大きく変わっているため、もし今相続が発生した場合、緊急事態宣言の前後で所有していた不動産の価値が大きく下落してしまうというケースが想定されます。
通常、路線価は時価の8割程度になるように設定されており、時価が大きく下がってしまうと、時価が路線価よりも低くなってしまう可能性があるのです。
このような状況を防ぐため、国税庁は都道府県地価調査(国税庁が毎年9月に発表)などを参照し、路線価の補正を検討することを発表しました。
これは仮に、今年7月以降で路線価補正が導入される前に亡くなった方にも適用される可能性を示唆していますので、申告する際には時価と評価の把握が重要となるでしょう。
②資産の現状把握(相続税評価と時価の差を把握する)
現状把握と聞くと、そんなの当たり前!と思う方も多いかもしれません。
しかし今年はコロナ禍で『評価と時価の関係』が崩れていますから、その差があるのかないのかを含めて確認し、納税/分割対策への影響確認と、必要な節税対策を進めることが大切です。
そして、いざという時にすぐ決断できるように、『家族間の考えや想い』を確認しておくことも必須でしょう。
しかし、不動産の評価と時価の差を調査したり、『相続の3つの対策(分割、納税、節税)+財産管理への影響』を正確に把握したりすることは、不動産にまで精通していなければ困難です。
そのためプロサーチでは、この資産の現状把握をサポートするサービスを展開しております。
以下に該当する専門家の方は、是非ご検討ください。
□不動産のことは良く分からない。調査やマーケット、問題点などを調べて欲しい。
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※詳しい内容については、お気軽にお問い合わせください。
路線価発表や、(喜ばしい影響とは言えないものの)新型コロナは、きっかけとしてお客様に相続関連情報をお伝えしやすいタイミングですから、この機会に現状把握や相続対策の見直し、不動産対策(特に売却・処分等)を検討すべきお客様にアプローチしてまいりましょう。
遺産相続コンシェルジュより
しかし過去に弊社の現状把握サービスを利用していたため、次に行うべきことが明確で、対策スケジュールも立てやすいというお言葉をいただいております。
準備が全てを決めるとも言いますが、正にその通りだと思います。
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