会社経営とアパートは一緒?空室対策からみるアパート経営で必須の2つの“ちから”

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今回のメルマガでは、私が過去に取り組んだアパート空室コンサルティングの実例をもとに、アパートを所有している方にとって少しでも参考となる情報をご提供したいと思います。
 
 
賃貸アパートやマンションを所有している方が、一度は悩んだり意識したりしたことがある『空室(空家)』という問題。
 
書店に行けば『空室対策』関連の書籍が所狭しと並び、セミナーや勉強会も連日開催されています。
それだけ関心の高いテーマであり、悩んでいる方が多いのだろうと思います。
 
いま、日本全国で約800万戸もの空家があり、今後も増え続けるといわれています。
確かに人口が減少し始めているにも関わらず、取り壊す建物数よりも新築供給戸数(分譲も含む)の方が多いのでそれもそのはずですね。
 
ですから、自分のアパートがあるエリアの供給数増加による競合増、さらにはその競合相手が新築や築浅物件などであれば、アパート・マンション所有者はより一層頭を悩ませる状況になっていくでしょう。
 

 
このように決して楽観視できない賃貸環境において、アパートを所有している方はどのような考えを持ち、取り組んでいく必要があるのか。
次に実例を挙げ、お伝えしていきたいと思います。
 

実例:26戸中6戸が常時空室の賃貸マンションを所有するAさんの事例

ある税理士さんから、空室で悩んでいる顧問先がいるとのことで相談を受けました。
状況を確認すると次のようなご家族、相談内容でした。
 

家 族:父79歳、母75歳、娘Aさん(相談者)45歳、娘の子の4人家族(同居)
資 産:賃貸マンション兼自宅(10階建) 
エリア:江東区
相 談:全26戸中、6戸が常時空室状態。
    借入金返済が重くのしかかり、今後の建物改修費などが捻出できるか不安。
 
対象不動産は、最寄駅から徒歩4分。JR線や他の私鉄も乗り入れしている何ら申し分のないアクセス、立地環境だったので、ちょっと空室が多すぎるという印象を受けました。
これは何かしら理由があるはずだと思い、様々な情報を収集した上で、お話を聞くことにしました。
 

【相談の概要】

・空室対策は、管理会社から提案された家賃値下げなどの賃貸条件を緩和する対策のみ。
 しかも効果が薄い。
・自分たちでは何をどのようにしたらいいのかわからない。

【マンション管理の現状】

・地元管理会社に賃貸募集等を委託していて、連絡窓口はお父様がやっている。
・娘さんが帳簿をつけており毎月収支がひっ迫していることに不安を抱えている。
 
 
そこでまず私は、事前調査で気になっていたことを聞いてみました。
『募集中の自分のマンションの図面を見たことはありますか?』
すると、新築の時以来、見た記憶がないとのことでした。
 

 
これが実際の募集図面です。
 
Aさんに見せてみたところ、『えっ!?女性限定じゃないよ!』『家賃保証に入ることが条件だなんて知らない…』など、かなり驚いた様子でした。
実際と異なる条件を図面に載せていることに私も驚きましたが、もっと重要なことがこの図面からもAさんご家族からも抜け落ちています。
 
それでは、一体どんなことがAさんご家族のマンション賃貸において抜け落ちていたのでしょう。
 

アパート・マンション賃貸でも『商品力』と『営業力』という観点をもつべき

それは「商品(≒物件)をターゲットに対して全くアピールできていないこと」です。
 
賃貸募集においてまず大切なことは、探している人の《選択肢》に残ることであり、《内見をしてもらう》ことです。
ちなみに下の図面は、当社にて作り変えたものです。
 
募集図面を比較してみて、皆さんはどちらの図面の物件を内見したいと思いますか?
 

 
物件(商品)をアピールし、見てもらわない限り空室が埋まるキッカケすらありません。
 
今回は図面を取り上げましたが、このように少しでも『住むイメージができる』ものに変えることによっても、効果が現れるでしょう。
内見も「お客様を迎え入れる」考えを持ち、必要な内見グッズを揃えたりと環境を整え、できることはすぐ実行し、一歩一歩着実に進めることで成果を得ることができます。
 
空室で悩んでいる方で、『何か特別な手を打たなければ』『目新しい商品を常に入れなければ』等と思い込んでいたり、『何をしたらいいのかわからない』と月日だけが過ぎてしまったりする方が多くいらっしゃるようです。
まずは上記のようなセオリーに基づいて「お客様の選択肢に残る物件であるか(商品力)」「物件をちゃんとアピールできているか、お客様に情報がちゃんと届いているか(営業力)」を確認して、すぐ行動に移しましょう。
 

『経営』の視点から具体的に変えたこと

私の役目は現状の空室を埋めるお手伝いだけではなく、今後も継続して収益が安定するようにAさん家族に幾つか「決め事」を作ることでした。
 
 

【決め事】
① 入居者が居続けたいと思う仕掛けをつくること。(サービスの提供)
⇒ 例)更新時にエアコン交換などを特典とする
 
② 解約から募集開始(入居中の内見可能)までを短縮化する
⇒ 例)解約通知を早めに出すと、退去時のクリーニング代免除
 
③ ターゲットへダイレクトに空室情報が届くよう販路拡大する
⇒ 例)単身者がよく利用する店舗や飲食店へQRコード付き図面を置かせてもらう

 
などです。
 
どれも簡単にすぐできることばかりですが、意外とどこもやっていないことが多いのです。
行動を明確にルーティン化できていれば、また解約が出たときに悩むこともなく、空室解消に向けて取り組むことができます。
 
こうした『決め事』を作ったことで、Aさんご家族からは
 
『やることがハッキリ分かったので、イチイチ悩むことがなくなりました。』
『ただ募集すればいつか決まる…。ではなく、アピールできているかなど意識を向けることが大切だと分かりました』
『誰か任せではダメですね。会社の経営と同じで、計画を立てて実行することが大事なんですね。これからは自分たちでも考える癖をつけていきます』

 
とのお言葉をいただきました。
 

遺産相続コンシェルジュからのアドバイス


相続のご相談の中でも、この空室を取り巻く問題が出てきます。親の世代は特に労せず収入を得ることができましたが(不労所得)、人口が下り坂の現在の日本では、厳しい環境を生き抜く経営力が求められてくると思います。
そして、アパート経営ではあまりなじみがないと思いますが、商品力(検討者の選択肢に残る。ターゲットに必要なものが揃っていること)と営業力(商品(≒物件)訴求ができている。販路拡大)という考えを持ち、取り組んでいく必要があります。
空室でお悩みを抱えている方がいましたら、いつでもご相談ください。(記:松尾企晴)
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