不動産・相続のプロが2023年不動産市況を大予想!顧客への不動産提案で困らないためのポイントを解説

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2023.1.31

 
2020年から影響が続く『新型コロナウイルス感染症』。
現在もまだまだ注意が必要な状況ではあるものの、コロナ禍によって大きく変わった経済やライフスタイルも、普段の生活の中に馴染んできたと言えるのではないでしょうか。
 
昨年はワールドカップの熱気にも引けを取らないくらい不動産価格が高騰し、不動産を購入したくても買えないという状態であったことは、不動産や相続の専門家である皆様も肌で感じていらっしゃったのではないかと思います。
弊社にも、お客様や専門家の方から「2023年も不動産価格は上昇を続けるの?それとも今売ったほうがいいの?」というお問い合わせが増えてきております。
 
今回は、2022年の不動産市況の振り返りと、2023年の予測をお伝えいたします。
 
 
【本記事のポイント】

・不動産価格は、国内・国外の経済状況などに影響を受けた需要と供給のバランスによって決まる。
 
・2022年の不動産市況は好調で、区分マンション・戸建て・一棟不動産いずれも高値で推移していた。
 
・2023年の不動産市況は、融資金利上昇の可能性、不動産業者間取引の増加、世界経済の世界経済の影響等の観点から、価格下落に注意が必要。
 
・不動産投資を検討する方は、2023年前半が勝負!早めに備えておくこと。

 
 

 そもそも不動産価格は何で決まる?


世の中には多くの“モノ”が溢れていますが、不動産に限らず、その価格は需要と供給のバランスで決まります。
 
例えば、スーパーに置いてある野菜も、不作のときは野菜が少なくなるので、【野菜の数(供給)<欲しい人(需要)】の関係となり、値段は高くなります。
 
豊作のときは【野菜の数(供給)>欲しい人(需要)】の関係となり、安く売られますよね。
これも需要と供給のバランスによるものです。
 
不動産における需給バランスに影響を及ぼす要因としては、以下のものがあります。
 

 需要のバランス

<需要を上げるもの・下げるものの一例>
↑需要を上げるもの:円安、政治経済の安定、他の金融商品の価格上昇
↓需要を下げるもの:金利上昇、人口減少、災害不安

 
これらの要因が、開発需要、海外投資需要、国内投資需要(機関投資家、個人)、マイホーム需要などに影響します。
 

 供給のバランス

<供給を上げるもの・下げるものの一例>
↑供給上げる:オリンピックなど開発の増加、相続等を要因とする空き家数の増加
↓供給下げる:建築費の高騰、資金調達コスト上昇(金利)

 
これらの要因が、新築着工件数や既存住宅の売却に影響します。
 

 
あくまでも一例ですが、その年の日本や世界の経済状況によって需給バランスが異なるので、上記をイメージしながら不動産市況を読み解くことが大切です。
 
 

 2022年の不動産市況


2023年の不動産市況についてお話しする前に、2022年の不動産市況を振り返ってみましょう。
 
コロナ禍が続く中、2022年も前年に引き続き「不動産市況好調!」と言えました。
下記の図の通り、全ての不動産価格は前年を上回っており、高値水準で推移をしています。

 

 区分マンション

特に東京都心のマンション価格の上昇が目立ち、新築中古ともに、成約単価は2020年半ばから約30ヶ月連続で価格上昇が続いています。
首都圏の新築平均価格は、約6,800万円(74㎡換算)と高値を推移し、東京23区では平均価格8,500万円となっています。
平均価格が一番高かったのは港区で、なんと1億円を超えることもありました。
 
ここまで住宅需要が高まった背景としては、コロナ禍により、需要と供給のバランスが崩れたことにあります。
 

《代表的な要因》
・新築マンションの供給数が例年と比較して減少
・テレワークの普及により、より住宅にこだわる人が増え、購入需要が増加
・地方への転勤が減ったことや、人との接触を避けるために家を売却する人が減ったことで、供給数が減少

 
ただし、これは都心や主要都市に限った話で、地方都市では価格が減少しているところも多く、2極化がより鮮明になったと言えるでしょう。
 

参照:(公社)東日本不動産流通機構「月間マーケットウォッチ」)
 

 戸建て

戸建てについても、コロナ禍の住宅需要を受けて価格が大きく上昇しました。
建築単価の上昇で、新築戸建ての販売価格が高騰を続けているため、中古も引っ張られる形で高値を推移しています。(区分マンションより価格の振れ幅は小さくなっています)
 
なお、2022年半ばは非常事態宣言などの影響もあり、成約件数が下がってきていることが下の図から分かります。

 

 一棟不動産

一棟の不動産も下記の図の通り、多くの物件で好調(高値)をキープ。
ただし店舗ビルについては、顧客が戻ってきてはいるもののコロナ禍前ほどの入居率や賃料水準には至らず、上値は重い展開です。
 

参照:(公社)東日本不動産流通機構「月間マーケットウォッチ」)
 
 

 2023年の不動産市況


2023年の不動産市況は、好調だった2022年と比べると都心でも価格上昇は一段落し、踊り場となるか下落していく可能性があります。
 
下落要因をいくつかご説明いたします。
 

 融資金利の上昇の可能性

2022年末、日銀が金融政策の修正(大規模緩和の見直し・長期金利変動幅0.25%⇒0.5%程度へ引き上げ)をするとの発表がありました。
結局、景気の下支えを優先し実質的な利上げは見送ることとなりましたが、このことから今後遅かれ早かれ、日本でも銀行融資の金利が上がっていく方向になると思います。
 
実際に私のお客様でも、今年に入り収益不動産購入の融資を金融機関に相談したところ、2022年に借りたときよりも0.3%ほど高い金利の提案をする金融機関がありました。
 

住宅購入や売却に影響?金利上昇時の見方

融資金利が上昇する時の傾向、注意点などについて解説いたします。
 

固定金利の上昇は火種である

金利はまず固定金利から上がります。
今後、『フラット35』は1.5%~2.0%ほどとなる可能性もあります。
 
ですが、住宅を購入するお客様が融資の際に固定金利を選択する割合は3割ほどと少ないため、直ちに不動産マーケットには影響しないでしょう。
ただしその後、変動金利にも影響が及ぶため楽観視は出来ません。
 

変動金利

変動金利は固定金利に続いて上昇します。
住宅を購入する際に変動金利を選ぶ人の割合は多く、金利が上昇すると買い控えたり、購入予算の見直しから高額帯の物件が売れにくくなったりするなど、影響は大きいでしょう。
 
また、金利上昇により、すでに住宅ローンを組んでいる方の中には返済が困難になる方も出てくるでしょう。ローンを支払えなくなり、自宅を売る人が増えれば市場に物件が溢れるため、価格相場が下がります。
 
過去の状況から、金利の上昇は不動産バブル崩壊の火種になりやすいため、注意が必要です。
 

 不動産業者間の取引が多い

不動産価格が高騰する中、不動産業者間で取引をされることが増えてきています。
 
価格の上昇により個人のお客様には売れにくくなっているものの、不動産の仕入れ・販売をしている不動産業者は売り上げを確保するため、売買をやめるわけにはいきません。
不動産仲介会社の方々からは、「最近は不動産市場から個人の方が減り、業者間取引が目立ってきている」というお話をよく聞きます。
たしかに私どもも、買い控えなどの理由から、個人のお客様が減ってきたように感じています。
 
ここで注意が必要なのが、不動産業者が購入する場合は、短期プロジェクト融資(1~2年)で借り入れをして購入することが多いという点です。
金利も高いため一定期間で売却が出来ないと、損切りを覚悟に投げ売りをする業者も出てきます。
これにより、物件が市場に多く供給されるため、不動産価格に影響が出るでしょう。
 
また、それだけではなく、計画がうまくいかず倒産する業者も出てくる可能性があります。
一部の不動産会社(デベロッパー)の話によると、金利上昇の話が出てからは、なるべく在庫を抱えすぎないように販売価格を下げたり、長期保有も可能な不動産を選定したりするなど、慎重になってきているようです。
 

 世界経済の影響

不動産市況は、世界経済や日本の株価に敏感で、その動きに連動していると言われます。
そこで、不動産市況にも影響すると考えられる4つのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
 

①アメリカや中国経済の鈍化

アメリカは現在、物価上昇を背景に国債の利上げを実施しているため、その影響で株価が下落し経済が鈍化してきています。
『米国がくしゃみをすると日本は風邪を引く』と言われるように、リーマンショックのときにもアメリカ経済の動きが不動産市況に大きく影響しました。
 
また中国でも、住宅市況が全体的に下落している(香港も金利上昇で価格低水準)ため、2022年まで日本の不動産を買ってきたアジア投資家の需要も増えにくい状況にあります。
 

➁日経平均株価の動き

下記の図からも分かるように、日経平均株価の動きと不動産価格は連動して動くと言われています。
 

 
その理由としては、都心のタワマン(特に高層階)の多くが、投資目的の購入需要であることです。
投資目的の人は、株で儲かると不動産に投資する傾向が強いため、株価の影響に需要が左右されます。
 
直近では、日経平均30,000円の高値を付けてから株価が1割以上下がっているため、投資家の動きも鈍く、景気後退を懸念して物件の買い控えをする方も出てきています。
 

➂オフィス賃貸需要の減少

コロナ禍でテレワークが普及し、オフィスの需要が減少してきているのは皆様もご存じかと思います。
2022年は都心での大規模ビルの供給が増えましたが、依然としてオフィスの空室率はコロナ禍前より高くなっています。
 
ビルなどの収益不動産の価格は、主に収益還元(収益が高い物件ほど価格が高い)で求めるため、空室や賃料の下落で収益が減ると、必然的に不動産価格も下がることになります。
 

④不動産ファンドの資産が減少

日本の不動産市況をけん引してきたのは、日本のプレーヤーだけではありません。
海外の個人投資家やファンドからの購入需要が高く、東京への投資額は『2020年では世界1位』『2021年は世界2位』となっており、コロナ禍においても海外からの注目の高さが伺えます。(JLL調べ)
 
しかし、2022年になると海外の大手不動産ファンドの資金が景気不安を受けて流出しており、それに伴い東京への投資額も世界14位へと落ち込んできています。
そのため、ファンドの新規投資が増えず、むしろ売却するファンドが増えてきており、都心など商業地の不動産への影響が懸念されます。
 

 これからの不動産投資のポイント


上記の状況から、2023年の不動産市況は厳しくなると考えられます。
 
ですが、コロナ禍による規制の緩和や円安など投資されやすい条件も揃い、正直どうなるか読み切れないところもあります。
このような状況でも、相続対策等で不動産購入を検討するお客様にお話しいただきたいポイントをまとめます。
 

 2023年の不動産投資3つのポイント

①売却は2023年前半が勝負
 ⇒今から価格査定や測量などを進め、売却活動を始める
②保有し続けられる物件を選ぶ
 ⇒一度価格が下がっても、将来的にまた資産価値が上がりそうな都心の物件
(金利の上昇なども考慮し、借り入れ割合には要注意)
③価格が下がった時に購入できるよう備えておく
 ⇒ある程度、現金資産を増やしておく
(ただし相続対策の場合は、バランスが重要)

 
ここまでのポイントをお伝えした上で、「実際にどんな不動産に投資したらいいか分からない…」というお客様への選択肢の一つとして特にお伝えいただきたいのが、『小口化不動産』です。
 
小口化不動産は、都心の一棟ビルなどの権利を少額の口数単位で購入することが出来るというものです。
皆様のお客様へ、不動産投資のご提案をされる際の参考にしていただけたら幸いです。
 

<小口化不動産をおすすめする理由>
・都心の中でも一等地の不動産のため、良し悪しが判断しやすい
・投資リスクが少ない
 ⇒賃貸物件1棟から得られる賃貸収入から分配されるので、空室が多少あってもお客様の賃料収入は0にならない
 ⇒一等地のため空室リスクや資産価値下落のリスクが少ない(将来上昇する可能性も)
・難しい不動産管理の手間がない(プロに任せて収益を受け取るだけ)
・小額から始めることが出来る(一口100万円~1,000万円)
 ⇒投資を始めるハードルが低く、追加投資も容易にできる

 
■関連記事
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 遺産相続コンシェルジュより

 
【今回のポイント】

・不動産価格は、国内・国外の経済状況などに影響を受けた需要と供給のバランスによって決まる。
 
・2022年の不動産市況は好調で、区分マンション・戸建て・一棟不動産いずれも高値で推移していた。
 
・2023年の不動産市況は、融資金利上昇の可能性、不動産業者間取引の増加、世界経済の世界経済の影響等の観点から、価格下落に注意が必要。
 
・不動産投資を検討する方は、2023年前半が勝負!早めに備えておくこと。

 
不動産市況の予測は極めて難しいですが、2023年は様々な要因から、不動産価格下落の注意が必要な状況になってきています。
不動産・相続初心者のお客様にも安心していただける分かりやすい提案ができるように、情報のキャッチアップを日々心掛けていきたいですね。
 


<お客様へご提案するときに伝えたいこと>
・不動産投資の選択肢やメリット・デメリットの説明
・投資のタイミングや税制のメリット(税理士等と連携)
・お客様の目的に合った投資手法の提案 など
 
「不動産相続対策や不動産売買の進め方がよく分からない」「お客様へ直接提案をしてほしい」という方は、相続にも不動産にも精通したプロもしくは弊社までお問い合わせください。(記:友重孝一朗)

 
 

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