空き家になった実家はどうするのが一番いい?損しない選択をするためのポイント解説
空き家になったままの実家、これからどうすればいいんだろうと考えたことはありませんか。
「実家に思い入れがあって売りたくない」「他人が住むなんて考えられない」「税金や維持費の負担があるし、誰も使わないから売却したい」「土地は残して建て替えたい」など、実家についての考え方はたくさんありますし人それぞれです。
本記事では、「実家どうする問題」を考える際の「損をしない選択をするポイント」を不動産と相続のプロの目線から解説します。
本記事のポイントは以下の通りです。
・空き家状態の実家を売却するときの手取りUPポイントは「住まなくなってから3年経過後の12月末までに売却すること」
・親が元気なうちは実家を賃貸して相続後に実家を売却と考えている場合は、賃貸期間の累積収入と相続後の売却手取りを検証すること
空き家と認知症
認知症有病者が2025年には700万人まで増えると推測されていますが(※)、認知症等により意思判断能を喪失すると資産の処分や購入などの契約行為ができなくなります。
(※)引用:日本における認知症の高齢者人口の将来設計に関する研究
空き家状態の実家がその家族にとって“問題化”するのは、親の意思判断能力の喪失によって売れない/貸せない/建替えられないという状態に陥るからです。
空き家を「どうにもできない」状態に陥らないよう、早めに対策と方向性を考えていく必要があります。
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空き家になった実家の対処法とポイント
空き家となった実家の売却や有効活用など、対処法とタイミングのポイントを説明します。
売却
親が老人ホーム等の施設に入所して実家に戻ることがなく子も使わない場合は、固定資産税の負担や管理の手間をなくすため、または老人ホーム等の施設の入所金や料金を捻出するためなどから売却を選択する人も多いでしょう。
ポイント1:3年以内の売却で手取りUP
親が実家に住まなくなった日から3年経過する年末までに売却する。
売却利益があり適用要件を満たすと「居住用財産の3,000万円控除」という特例により最大で約600万円も譲渡所得税が軽減されます。
ポイント2:相続後の売却で手取りUP(戸建限定)
売却のタイミングが3年以上経過しているときは、居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除(ポイント1)は使えません。
売却を急ぐ理由がない場合は、ご相続後の売却によりポイント1と同様の税負担軽減があります。『相続空き家の3,000万円控除』という特例です。
例えば建物の築年数が昭和56年5月31日以前に建築されているなど要件を満たすと、売却利益から最大3,000万円控除されます。
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実家購入時の不動産売買契約書や代金支払い領収書などの購入費証明ができない場合は、売却した時に税負担があるでしょう。
売却するときは、幾らで売却できるのかも気になるところですが、いくら現金が手元に入るかという“手取り”が大切です。
希望額で売れるかは買い手に委ねられる部分が多いですが、このポイントの税負担軽減の特例を使い手取りを増やせるかどうかは“売り手が決められる”ことです。実家の売却は“タイミング”を意識して検討しましょう。
賃貸
思い入れがあるし、今すぐ売るつもりもないから賃貸収入得ながら保有したい。
このように、実家の固定資産税や老人ホーム等の施設の賃料を捻出するために売却ではなく、実家を貸すという選択肢があります。
ポイント1:土地、建物どちらを貸すのか
建物を貸す
建物の賃料相場で貸すことができる/リフォームや設備改修費用の負担がある
契約期間は2年等(更新型又は再契約型)
土地を貸す
土地固定資産税の3~5倍程度の収入/借地権譲渡収入がある
賃貸中の現状回復や設備修理などの支出がない/契約期間は当初30年間
実家を貸すというと、そのままの建物を貸すイメージがあると思いますが、土地は親名義のままで、第三者に土地を貸し、第三者が家を建てる(借地権といいます)方法もあります。
建物を貸すのは賃貸借契約期間も短く、定期借家契約とすれば2年など一定期間後に契約終了しますので自己利用など計画が立てやすいです。
土地を貸すのは、リフォーム費用負担などがかかりませんが、既存建物の解体費用がかかることや長期間にわたり自己利用は出来なくなります。
それぞれメリットや留意点があります。建物を貸す、特に土地を貸すも含めて検討したい方は借地底地と相続に詳しい不動産会社に相談してみましょう。
ポイント2:賃貸したら相続後の売却で損!?
親の生前中は賃貸収入を得つつ、相続後に売却を考えているという場合、実家を貸すと“相続空き家の3,000万円控除”は適用除外となり使えません。
(例)
パターン1 親の生前は実家を貸して相続後に売却
相続までの累積賃料収益が400万円、相続後に売却で上記3,000万円の特例使えず譲渡所得税(最大600万円)の軽減なし
パターン2 空き家のままで相続後に売却
実家を空き家のままとすると収益は0円、相続後に売却で上記3,000万円の特例利用で譲渡 所得税最大600万円軽減あり
2つを比較すると、空き家状態から売却までのトータルの手取りを考えたら賃貸しない方が良かったといえるでしょう。
このように、親の生前中の累積賃料収入と、特例による税負担軽減とを比較検証することが必要です。
実家を貸す前には、上記の税メリットの検証をして決断してください。
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相続税の節税効果は最初だけ?「借金してアパ―ト経営」の相続税対策効果を徹底検証
建て替え
空き家状態の実家を、子の住居や賃貸用物件に建て替えることも選択肢の一つです。
ポイント:相続対策3つの柱への影響を確認
相続対策の3つの柱は「遺産分割対策」「納税対策」「節税対策」です。
この3つのバランスを考えることがとても重要です。
賃貸併用住宅は「節税対策」に有効ですが、建て替える前に「遺産分割」「納税戦略」への影響を確認してください。
建て替えたことによって、相続人の間での分割バランスが崩れたり、納税資金が足りなくなって金融機関に借りることになるなど、影響をよく考えたうえで実行しましょう。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
相続税策でアパート建築して失敗する前に、知っておきたい相続対策3つのステップ
まとめ
本記事のポイントは以下の通りです。
・空き家状態の実家を売却するときの手取りUPポイントは「住まなくなってから3年経過後の12月末までに売却すること」
・親が元気なうちは実家を賃貸して相続後に実家を売却と考えている場合は、賃貸期間の累積収入と相続後の売却手取りを検証すること
本記事でお伝えしたように、売却のタイミングを逸したがために手取りが減ったり、貸さなければよかった…なんてことにならないよう、実家を貸したり売る前に、『現時点から相続後までを考慮して一番手取りが多くなる方法』を検証しましょう。
この検証には、不動産や税金に詳しい税理士や不動産相続コンサルタントなどの専門家に相談してください。
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