確定申告の時期こそ、不動産の現状の見直しを。1年の振り返りで、顧客の資産価値が上がる!?

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2021.2.26

 
今回は、1年の総決算である確定申告をキッカケとして、“数字だけでは見えない不動産の怖さと、現状把握の重要性”についてお伝えします。
 
今年の確定申告は新型コロナウイルスの影響もあり、申告期限が4月15日まで延長されることになりましたね。
不動産を所有しているお客様は『不動産の賃貸収入がある』『不動産を売却した』『住宅ローンで家を購入した(住宅ローン控除)』などで収入や支出があると、確定申告をされていると思います。
 
このうちの『不動産の賃貸収入がある』方、つまり“収益不動産”についてのお話です。
 
私どもに寄せられるご相談をみると、不動産オーナーは、賃料や管理費などの『数字』は常に把握していますが、買った、建てた後の『不動産の現状』については把握していないお客様が多数いらっしゃいます。
 
本記事では、賃貸収支だけではわからない“収益不動産の現状把握をすべきポイント”を知ることができます。ぜひ、お客様へのお話のネタのひとつとしてご覧ください。
(※記事内に登場する“収益不動産”とは、大型のビルやマンション、区分マンションではなく、中小規模のアパートやビルを想定しています。イメージは10世帯アパートや、5階建てビルです)
 
本記事のポイント

・効果の高い空室対策をするためには、『賃貸マーケットから選ばれる物件かどうか』を分析する
 
・無計画な修繕は最悪の結果に繋がることも。費用を支払ってでも、『修繕計画、収支シミュレーション』を作成する
 
・いま売らなくても、ベターな売却のタイミングを知るため、常に『時価』を把握することが重要

 

収益不動産で押さえたい現状把握すべきポイント

1.賃貸マーケットから選ばれる物件かどうか
2.修繕計画、収支シミュレーション
3.時価

 
「なんだ、当たり前の事じゃないか!?」と思われるかもしれませんが、多くのお客様はその当たり前のことができていません。
 
確定申告の時期は、『賃料収入』や『修繕などの出費』のデータが揃っています。
不動産オーナーに、「今年の不動産経営はどんな感じでしたか?」と質問すると、「年々収入が減ってきているな」とか「固定資産税などの税負担が重く感じるようになったよ」などのお話が出てくると思います。
 
不動産オーナーは収入UPしたい一心で、不動産会社から『空室対策になりそうな高額新商品』を購入することがありますが、空室改善効果はほとんど出ていないのではないでしょうか。
 

3つの視点

収益不動産の問題を“空室や賃料下落”であると捉えてしまうと新商品の売込みに遭います。空室や賃料下落というのは問題を放置した結果であって本質ではありません。
また、保有時だけでなく、先々の売却までも想定し、事前に問題を確認することが大切です。
 
やみくもに設備投資をするのではなく、3つの視点から冷静に分析していくことが必要です。
 
 

ポイント1:賃貸マーケットから選ばれる物件かどうか

アパートを建築するときや購入するときは、アパートメーカーや売買仲介会社が必死になってマーケット情報を集めてプレゼンしてくれたと思います。
 
賃貸マーケットは年々変わりますが、さて、アパートオーナーになった後に“賃貸マーケット分析”を定期的にしている方はどれほどいるでしょうか。
やっている!という方でも「住宅情報サイトで十数件ほどの物件情報を見ている」程度だと思います。
 
もちろんやらないよりはマシですが、しっかり分析しないと“賃貸マーケットにおいて所有物件が置かれている状況”を正しく把握することができず、効果的な対策が打てません。最低限、調べたほうが良いことをお伝えします。
 
①賃貸マーケット
*競合分析(最寄り駅含め前後2駅程度の物件情報)
 ・賃料や礼金敷金などの賃貸条件/設備/ペット可否/空室期間など
 ・募集中/成約物件の特徴
*“競合分析”から見たときの所有物件
 ・設備や、賃貸条件の違い
 
②入居ターゲット
*過去の入居者データ分析
 ・年齢、性別、収入、学生/社会人(職種)、連帯保証人属性
*競合物件の入居者層確認(不動産会社へヒアリング)
 
③賃貸募集活動
*選ばれるための活動が出来ているか
 ・発見してもらうための努力
 (不動産会社やネットなどの周知活動、近隣アパートDM等)
 ・内見してもらうための努力
 (見たいと思わせる募集図面の工夫、内見アンケートで営業マンに図書カードプレゼント等)
 
これらを把握することで“賃貸マーケットに選ばれる物件かどうか”が分かりますので、設備導入、女性限定やペット可など入居条件、賃貸条件の変更など、所有物件の空室対策で何をすればよいかが明確になるでしょう。
 
※関連記事
会社経営とアパートは一緒?空室対策からみるアパート経営で必須の2つの“ちから”

 
 

ポイント2:修繕計画、収支シミュレーション

数年前に税理士さん経由で、「不動産管理会社からアパート9戸中5戸(各戸:40㎡、賃料7万円/月)の総額2,500万円の室内リフォーム提案があり、実行。その結果、賃貸経営が悪化して売却」というご相談を受けました。
 
この2,500万円 のリフォーム費用だけを回収するのに約6年かかります(賃料が月7万円で6年間満室)。
オーナー曰く、アパートの修繕計画はなかったようです。これは特別ではなく、よくある事例です。
 
なぜこのようなことが起こるのか、不思議ですよね。
私がこれまで見てきて感じたことは、

・そもそも“中長期修繕計画を作成していない”ことが多い
・管理会社や施工会社にとって都合の良い計画であり、資金繰りなどは無視

 
行き当たりばったりではなく、健全なアパート経営には、『建物の適正な中長期修繕計画』を作成することが重要です。
また、管理会社とは別で、費用を支払ってでもセカンドオピニオン的に建物改修工事会社へ調査と計画書の作成を依頼したほうがよいでしょう。管理会社側の計画との比較対象にもなります。
 
中長期修繕計画を入手できたら、ポイント1の賃貸マーケットも考慮しつつ、アパート収支シミュレーションを作成しましょう。こちらもアパート建築/購入以来、ほとんど見直しされていないため、できれば毎年の確定申告時期に見直したいところです。
 
 

ポイント3:時価

売るときだけではなく、常に時価を把握しておくと出口戦略等で役に立ちます。(一例)

・代々の土地にアパートを建てたお客様は、アパートは土地+建物の積算価格と思い込んでいて収益還元価格(利回り)を把握していない
・これまでとこれからの賃料収益を考え、いつ売却したほうが良い(儲かる/損しない)のか判断基準の一つになる

 
「売る予定がなく価格把握だけ」といって不動産仲介会社に相談すると、しつこく売却営業されたり、不的確な査定をされたりすることも。
こちらも査定費用を支払ってでも的確な価格査定をしてもらうようにしてください。
 

遺産相続コンシェルジュより

本記事のポイント

・効果の高い空室対策をするためには、『賃貸マーケットから選ばれる物件かどうか』を分析する
 
・無計画な修繕は最悪の結果に繋がることも。費用を支払ってでも、『修繕計画、収支シミュレーション』を作成する
 
・いま売らなくても、ベターな売却のタイミングを知るため、常に『時価』を把握することが重要

 


収益不動産の現状把握は、定点観測のようにデータが取れるため同じような時期に行うことを推奨します(半年や1年ごとでも)。
それが確定申告の時期であれば、お客様も情報収集し興味があるときでしょうから、このタイミングでぜひお話してみてください。
 
ですが、税理士さんは確定申告のための不動産の『数字』はもちろん確認をされるものの、そもそもこの忙しい時期に税理士さんが専門外の不動産のことまでご相談に乗るというのは現実的に難しいと思います。
プロサーチでは、本メルマガで挙げたポイントを網羅した“不動産の現状把握”を承っております。詳しくはメールやお電話にてお問い合わせください。(記:山内綾子)

 

 
 
 

 

 

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