なぜアパート建築が相続対策にならないのか? 円満相続を迎えるために本当に必要な相続対策の進め方

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なぜアパート建築が相続対策にならないのか? 円満相続を迎えるために本当に必要な相続対策の進め方写真

2020.9.22

 
「老後の生活を豊かに安心して暮らしたい」
「子どもたちに少しでも多く財産を遺したい」
「子どもたちに良い暮らしをして欲しい」
 
このような理由から、『安定収益』を求めてアパートの購入や建築をする方は沢山いると思います。
 
今回は、「アパート建築の提案を受けているが進めて良いのだろうか?」とご相談を受け、結果としてアパート建築を取りやめたお客様の事例をお伝えします。
 
アパート建築だけではなく、不動産を使った相続対策を検討している方にもぜひ読んでいただきたい内容です。
 
今回のポイントは以下の通りです。
 

・相続対策としてのアパート建築のメリットとデメリット
・アパート建築の目的に「将来の子どものため」があるなら、親だけで進めないようにする
・不動産を使った相続対策には、公平な目線でのアドバイスを受けることが大切
・アパートを残せば子どもは喜ぶだろうの「~だろう」は争続への危険信号

 
 

相続対策としてアパート建築を提案されるものの一抹の不安が・・・


 
あるハウスメーカーの相続対策セミナーに参加し、相続した空き家にアパート建築を検討していたYさん。セミナーでは、講師からアパート建築すれば相続税が節税できて家賃収入も得られるという説明を受け、大変興味を持ちました。
 
セミナー後の個別相談から始まり、ハウスメーカーの営業マンからアパートを建築すれば相続税対策になると説明を受け、Yさんは実際にアパート建築の見積もりをもらい、実際に手続きを進めていくことになりました。
 
しかし、検討していくうちに本当にこれで進めてよいのかと不安に・・・。
 
そこでYさんは、知人のつてをたどって紹介を受け、当社に相談に来ました。
 
 

 
 
ご面談でお話をじっくり聞くにつれYさんの状況や希望や不安などがたくさんでてきました。
 

状況
・Yさんは奥様と2人暮らし
・お子様が3人いるが、独立して別々に暮らしているとのこと。
・不動産は自宅、他に相続で取得した空き家(アパート建築対象地)がある。

 
 

希望や不安
・空き家は固定資産税など負担ばかりかかるのでどうにかしたい
・アパート収入を生活資金の足しにしたいが、相続税をできれば抑えたい。
・アパート建築に伴う借入金3,000万円を返済していけるのか不安がある。
・アパートを残したら子どもたちに喜んでもらえるはず。

 
 
Yさん「収益のある不動産なら将来子供たちが相続した際に喜んでもらえると思う。なので、このままアパート建築をした場合、どれだけ相続税評価が下がるのか。借入金を返せて、生活資金の足しにできるくらい収益を上げられるのか聞きたくて」
 
 

アパート建築による相続対策のメリットとデメリット


 
ハウスメーカー「安定収入を得られますし、相続税対策に効果が高いのはアパート建築です。お子さんにも喜ばれると思いますよ」
  
営業マンはそう言いますが、本当にアパート建築はいいことだらけなのでしょうか。
 
ここでアパート建築のメリットデメリットをみてみましょう。
 

相続対策としてのアパート建築のメリット
・相続税が〇〇〇万円から〇〇〇万円へと相続税の節税ができる
・ローン返済後の手取りとして月〇〇〇万円の収入が見込まれ、親は老後の生活費の足しにできる
・子は相続で取得することで賃貸収入を得ることができる

 

相続対策としてのアパート建築のデメリット
・遺産分割で揉める可能性がある
・空室増加などでアパート経営状態が悪化すると毎月〇〇万円のローンの返済の他、管理費の支払いができず負の財産を遺すことになる
・子がアパート経営に不慣れな場合、借入金返済に困り結果手放す可能性がある

 
 

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相続チェックシートで分かる親と子、それぞれの想い

Yさんのお話を聞いたあと、このような質問をしました。
 
「Yさんのお気持はわかりました。ところで今回のことについて、お子様たちは何と言っていますか?」
 
Yさんは首を傾げて言いました。
「子どもたちになんて聞いてないよ。アパート建てるのは自分たちだし」
 
そんなYさんに一枚のシートを手渡し、次のようにお伝えしました。
 
「これは親と子の気持ちを確かめるためのチェックシートです。このチェックシートの項目をYさん、お子様それぞれで埋めてみてください。相続に対するそれぞれの想いがわかります。アパートを建てるのはYさんかもしれませんが、将来、相続によってお子様たちもアパートを引き継ぎ管理運営することになるのです。」
 
「アパート建築の目的に、お子様を喜ばせるためとありましたが、本当にお子様たちは喜ぶのか、このシートを使って、相続に対するYさんの想いや考え、アパート建築について一度話をしてみてください。」
 
今回Yさんにやってもらったチェックシートがこちら。
 


 

Yさんはしばらくシートを見つめ、悩んでいたが意を決し、「わかった、一度話をしてみる」とその場で約束をし、2週間後お会いすることになりました。
 
 

Yさんとの2度目の面談

 
Yさん「アパート建築するのをやめたよ!」
 
「こないだのシートを使って子どもたちと話をしたんだ。そうしたら借金がついているアパートなんていらない、それに管理が大変そうで嫌だって言うんだよ。これじゃ収入が増えても何のためにアパートを建築するのかわからないし、自分たちに合った対策はアパート建築じゃないって気が付いたんだ」
 
そう笑顔で仰いました。
 

今回、活用したものはプロサーチで主催している不動産相続セミナーの中で使っているシートの一つです。実際にセミナーの中でチェックをしてもらい、ご自身で相続対策の問題点に気が付くことを目的としています。
 
まずはYさん自身には上段を、お子様たちには下段のチェックシートを埋めてもらい、その結果をもとにお子様たちと話し合いをしてもらいました。
 


 
結果、喜んでもらえる「だろう」と思っていたことと、実際に話を聞いてみると全く逆の答えが返ってきました。さらに、将来は兄弟3人が揉めないような遺産分割方法を今のうちから決めておいてほしいとの意見も出たそうです。
 
チェックシートを経て、親子の想いのずれに初めて気づくことができました。
 
 

不動産の相続対策は「資産と想いの現状把握」から


 
これを機に、お子様たちも交えて下記のように相続対策を決めていくことになりました。
 
なぜこのような段階を踏むかというと、家族全員が同じ情報をもって取り組む必要があるためです。
 

ステップ1 資産の現状把握(不動産や他資産の調査、分析、問題点の抽出など)
ステップ2 家族の想いの把握(ステップ1の内容をみての気持ち、相続への考えなどを個
別にヒアリング)
ステップ3 相続対策案の作成(資産と想いの把握をもとにつくる)
ステップ4 説明会の開催(ご家族の前で当社が説明)
ステップ5 対策の実行(家族皆で協議し決めた事を進めていく)

 
上記のステップを踏み進めていき、以下の対策をすることに決まりました。
 
・一戸建てを売却し、区分マンション2部屋に組換えるプラン
・将来は、長男には自宅、次男と長女には区分マンションを相続する
 
「子どもたちにとって迷惑なものを残すことになるのなら、誰の何のための相続対策なのか分からなくなるね。提案してくれた対策プランは誰も言ってくれなかったし、初めて知るものばかりだった。やっぱり公平な視点でアドバイスをしてくれるプロサーチに相談してよかった。これからも宜しく頼むよ。」とYさんは仰ってくださいました。
 
 

まとめ

・相続対策としてのアパート建築のメリットとデメリット
・アパート建築の目的に、「将来の子どものため」があるなら親だけで進めないようにする
・不動産を使った相続対策には、公平な目線でのアドバイスを受けるのが大切
・アパートを残せば子どもは喜ぶだろうの「~だろう」は争続への危険信号

 
平成27年の相続税法改正以降、東京都内や地方都市に家を持っているだけで相続税がかかるとまで言われるようになり、『不動産等を活用した相続税節税を謳う商品』が溢れています。
 
相続対策で一番簡単で、誰でも効果が分かりやすいのは節税ですから、遺産分割や相続税納税のことを考えず、安易に飛びつく方が後を絶ちません。
 
弊社には、「節税のことをいろいろ言われたけど結局何をしてよいか分からない」とご相談に来られるお客様が格段に増えました。
 
どのようなお客様にもお伝えしているのですが、大切なのは相続に対する親子の気持ちを知ることです。
 
「相続対策って、何からすればいいの?」
 
親はどのような想いで相続させたいのか、子どもはどのような資産を相続したいかなどを知ることにより、円満に相続を迎えるためにその家族にとって本当に必要な相続対策が見えてきます。
皆さんは普段から親子でコミュニケーションとれていますか?
当社の個別相談では不動産・相続対策における親子間のコミュニケーション方法についてもアドバイスをしています。無料メール診断を実施していますので、気になる方はぜひ一度ご相談ください。

 

この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

 

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