不動産相続コンサルタントとして、自分たちがお手伝い出来ること+αの視点が大切
【事例】
都内の区分マンションを複数相続されたお客様
今回は、不動産の相続登記など相続に関わる手続きのサポートをさせていただくことになったAさんのお話です。
亡くなられたお母様は都内に複数の区分マンションを所有しており、その全てをAさんが相続することに。
ご面談日にAさんは、「相続の手続きはほんと大変だったけど、不動産を引き継ぐのはもっと大変…」とポロリ。
不動産に関するお悩みも色々とお伺いすることになりました。
相続が理由だとしても、自分の資産(特に資産価値が高いもの)が増えて嬉しいお客様は多いですが、Aさんの場合は「正直、親が持っていた資産なので想い入れも薄いです。管理の手間や将来的に掛かるお金の方が不安で仕方ない…」というのが本音でした。
私はAさんに対し、まずは区分マンションと今後の資産の持ち方について調査しますねとお伝えし、2週間後に改めてお会いすることにしました。
活用方法や賃貸/売却の想定価格や留意点などをレポートに纏め、お母様が遺してくれた資産をどのように保有していくのか、時間をかけてゆっくりAさんのお気持ちを聴きながらお伝えしました。
しかしながら、「不動産は売却しようとは思うけど…」と、Aさんは何かに引っかっており売却に踏み切れないご様子。
私はお話の流れでAさんが仰っていた、「夫婦で遺品を整理しているのよ」という言葉を思い出しました。
それがきっかけで、売却へ向けて話が進むことになったのです。
売却を決めたきっかけは「片付け」
Aさんの1番の悩みをお伺いし、私共がどのようにお役に立てるかを明確にしたことで、不動産を手放したいと思いながらも二の足を踏んでいた原因が解消されたのです。
それは、お母様が遺した不動産関係の書類や、自宅や倉庫にある数多の遺品の処分と分別方法についてでした。
被相続人の方が亡くなるまでに私物が全て片付けてあることは極めて稀です。
例えば、老人ホームに入所したけど、また戻ってくるかもしれない。親の物だから子供達も勝手に処分出来ない等、理由は様々ですがほとんどがそのままの状態になっています。
Aさんは、遺品の処分などをどうしたらいいか分からず、誰に聞いたらいいのかも分からずとにかく途方に暮れていたため、不動産や他資産のことまで頭が回らなかったのです。
「Aさんと一緒に、遺品整理や必要な書類の分別のお手伝いをさせてください」
私のこの一言で、Aさんは「遺品や必要な書類などの分別をすることが一番の悩みだったのよ!プロサーチの山内さんが手伝ってくれるのなら本当に助かるわ!!」と満面の笑みでした。
そして、「このまま不動産の売却もお願いできるかしら?書類の分別だけじゃ儲からないしね、ぜひお願いしたいわ」と、そのまま不動産売買のお話までいただけました。
不動産のプロとして不動産の査定や売却手法についてお伝えすることは当たり前ですが、このように相続や不動産まわりのことでお客様が何に悩み、どの様に解決していくかに寄り添う姿勢がとても大切なのだと再認識できました。
まとめ
Aさんの事例のように、相続した不動産(空き家)を売却するときに1番困るのが、遺品整理です。
いざ売却が決まると、室内の内見時には私物はできるだけ片付けておくこと、買主への引渡時には私物が室内にない状態で引き渡すことが原則です。
この「片付け」がとても億劫で、またいつかやればいいや!と結局そのまま放置しがちになります。
お客様は今後必要となる書類や情報が何かをご存じありませんから、この部分が手間と感じ、悩みを抱えています。
専門家からしても書類の分別などは一番手間ですし、さらに報酬がいただきにくい部分でもありますが、本来は私たち専門家が積極的にサポートすべきなのではないでしょうか。
終わりに、私たちプロサーチは、企業メッセージとして 「家族の物語を、つむいでいこう」と掲げています。
不動産やお金などの形ある資産と、思い出などの形なき財産、どちらも家族にとってはかけがえのない大切なものです。
もちろん残された遺品の中にも、大切な品や思い出が残されています。
遺品や不動産等の資産(モノ)だけではなく、思い出や経験(モノ)も含めて、ご家族がしっかりと次世代へ紡いでいけるように、サポートできる存在が必要だと確信しています。
遺産相続コンシェルジュより
(Aさんの場合は、遺品整理が1番のお悩みでした)
コンサルタントとして、自分たちの得意分野でお客様のお役に立てることはもちろんですが、自分たちの業界に囚われずに多角的な視点をもったアドバイスも必要不可欠です。
お客様への提案が自分たちの商品の売り込みだけになっていないか?お客様へ適切な情報や手段等を提供出来ているのか?と、私も自問自答しながら日々お客様と接しております。
プロサーチでは、お客様の相続に関する問題解決を目指す専門家の皆様と共に、お客様が本当は何に悩んでいるか・本当に求めていることは何かを改めて考えていきたいと思います。(記:山内綾子)