まずは託してみるところから!「家族信託」の特性を使った地主さん・家主さんの不動産承継
「家族信託」の普及とそれを踏まえた今後のテーマ
弊社の芳屋が代表理事を務める家族信託普及協会の発足から約3年が経過しました。
この3年間、私たちプロサーチでも「家族信託」を中心としたセミナー、勉強会などを150回以上行い、「家族信託」に関わる相談や具体的な実務案件も多く経験してきました。
そして、最近では提携している税理士さんや金融機関などから
「プロサーチさん、家族信託もだいぶ認知度が高まってきましたね!
ところで「家族信託」の次のテーマはなんですかね?」
とよく聞かれます。
確かに「家族信託」という言葉自体はテレビや雑誌を始め、様々なところで聞かれるようになり、認知度は徐々に高まってきました。
これまでは、「家族信託」という選択肢があるということを知ってもらうことに注力してきましたが、これからは「家族信託」ならではの特性を生かし、地主さんや家主さんの資産の「承継」問題を解決していくこと、そして何よりも実際に実行してもらうことが次のステージであるとプロサーチでは考えています。
地主さんや家主さんの不動産承継において考えるべきことは何か?
では地主さんや家主さんの不動産の承継問題ではどのようなことを考えなくてはいけないのでしょうか。
例えば、一般の会社の事業承継では、株などの承継対策だけではなく、後継者の資質や育成を同時に考えなければなりません。
多くの経営者は事業承継にあたり、こんなことを考えることになるのではないでしょうか。
① 誰に事業を任せるか?後継者としてふさわしいのは?どうやって育成をするか?
② どのタイミングで権限を委譲するか?
③ これまでの事業に対する理念や想いをどう伝えていくか?
それではこの承継問題を地主さんや家主さんの立場として置き換えるとどうなるのでしょう?
① 誰を地主業・家主業の後継者とし、育成をするか?
② どのタイミングで不動産を含めた資産の管理権限を委譲するか?
③ 地主、家主としてどうやって先祖から引き継いできた土地を守るか?
こうして比較をしてみると、考えるべきポイントは共通していると思いませんか?
さらにもう1つ、一般の事業承継では、始めてから完了するまでにどのくらいの期間がかかると思いますか?
1年?2年?3年?それ以上でしょうか?
少なくとも数年間は必要と考える方が多いでしょう。一般の事業承継では後継者を交えて何年もかけて、計画的に承継の準備をし、徐々に移行していくのです。
ところが地主さんや家主さんの場合はどうでしょう?
「考えてはいるけれども、子供に託すのはまだ早い」
「まだ自分で不動産の管理もできるし、今、子供に任せるとろくなことにはならない」
と言って、何も準備をせずに先延ばしにしている方も多いのです。
本心は「早く子供に任せたい!だが全てを任せるのは不安だ」という気持ちが少なからずあるのではないでしょうか?
このような承継問題の解決の第一歩に「家族信託」を使うと・・・
こうした地主さん・家主さんの気持ちを解決するための第一歩として、「家族信託」の以下の特性を利用することも一つの方法です。
2.「後継者に託した資産」であっても、あくまで現所有者のものとして、今まで通りの収益やその価値を有することができる。
3.「託す資産」は状況を見ながら、順次増やしていくことができる。
4.「託した資産」については、もしも現所有者が将来認知症などの事態になっても、託された後継者がきちんと管理処分を継続することができる。
このように「家族信託」では、今すぐに全てを任せきれない親の想いを反映しながらも、限られた範囲の中から後継者に少しずつ資産管理の権限を与えていく資産の承継方法が可能なのです。
そこで私たちが提唱したいのは、地主さんや家主さんに、まずは「家族信託」を使って、一部の資産を後継者に託してみてはどうかということです。権限を与えられたことで後継者は初めて相続や資産管理に真剣になるのです。
皆さんのお客様で今まで資産の承継がなかなか進まなかった地主さん・家主さんでも、まずはできる範囲で後継者に資産管理の権限を託す「家族信託」から提案をしてみてはいかがでしょうか。
遺産相続コンシェルジュからのアドバイス
地主さん・家主さんの承継問題と一般事業の承継問題を成功させるための共通点は、どちらも早い段階から後継者を巻き込み、権限を順次委譲していくことです。
そのタイミングが遅くなればなるほど、できる対策の選択肢が狭まり、何も準備をしないまま相続や事業承継が発生すると、後継者は大変苦労することになるのです。
プロサーチではこうした問題で困る後継者を減らしたいとの思いから、「地主さん・家主さんのための後継者養成講座」を開発しました。後継者養成講座では「家族信託」を使い、まずは一部の資産の管理権限を委譲してもらうプログラムも用意しています。
この後継者養成講座の専門家向け説明会および地主さん・家主さん向けのご案内セミナーを定期的に行ってまいりますので、ご興味のある方はぜひとも一度ご参加してみてください。
(記:髙橋大樹)