「空き地にアパート活用」が本当に正しい相続対策か?

「空き地にアパート活用」が本当に正しい相続対策か?

「空き地にアパート活用」が本当に正しい相続対策か?写真
被相続予定者
ご主人(58歳)
相続予定者
娘(30歳)
ご相談者
ご主人(58歳)
対象不動産
底地
「空き地にアパート活用」が本当に正しい相続対策か?写真

ご相談内容

相続対策を行う本当の目的は?
今回お客様をご紹介してくれたのは、先日「不動産相続の成功事例」というテーマで勉強会をした生命保険会社の営業マンだった。「高橋さん、先日の勉強会、為になりました。実は今、私のお客様が自宅の裏にある畑でアパート活用の提案を受けていて、私にこれを本当にやっていいのかどうかのご相談がありました。駅からも離れているので感覚的には、アパート経営は成り立たない気がしていますが、アパート経営のリスクや他の活用方法があることをうまく伝えることができなくて…。建築会社からは消費税増税になる前にという話で、請負工事契約を迫られているようなので、早急に一度お客様に会って話を聞いてもらえませんでしょうか。」そこで、早速お客様と会う段取りをしてもらい、話を聞きに行くことにした。 お客様の自宅は都内から電車で約1時間。最寄駅からはタクシーを使って10分ぐらいのところ。自宅周辺を見ると典型的な低層の住宅地で畑など空地も多かった。私は、直ぐにここで大規模なアパート経営は厳しそうだなと感じた。自宅の敷地が1,000坪近くあり、その大部分が畑となっていた。その畑の一部にアパート建築をしてはどうかとの提案があったようだ。計画では1億5,000万円の借入金をしてのアパート建築。2LDKの各室を8万円前後で貸すことになっている。また、将来の賃料減額リスクを▲5%程度とみている。借入金利は変動だが、シミュレーション上は一定の金利で組まれていたため、将来予定通りに収支が成り立つか不安が残る内容だ。
  お客様とお会いして、次の本質的な質問をぶつけてみた「このアパート建築の本当の目的はなんですか?相続税対策?それとも安定収入確保ですか?」お客様も「はっ」とした。「確かに、相続税の節税効果はあった方がいいけど、直ぐに相続が発生する可能性も低いし、自分がリタイアした後に安定した収入を確保できることが一番大事かな。ただそれも夫婦2人で生活していくだけの収入があれば十分だ。大きな借入金のリスクを背負ってまでやる必要もないか。」奥様からも「そうねぇ。今まで億単位の借入金なんてしたこともないし、将来娘に負の財産を残したくないわ。」これで今回の対策に対するご夫婦の本当の気持ちが聞けたような気がした。建築会社に急かされていつの間にか「建てなければ」の呪文にかかっていると感じた。そこで私は、「今日お聞きした話を踏まえて、考えられるいくつかの方法のご提示と、その中でお客様の気持ち、家族や資産背景、マーケット状況を踏まえて一番いい対策がなにかを提案します。」と不動産・相続対策レポート作成の提案をした。

当事務所の 提案と解決策

資産分析開始!この場所で考えられるほかの方法は何か?
その場でレポート受注を頂いたので、翌日から早速、不動産調査と資産分析を開始した。まずお客様の現状の不動産収益を一覧表にまとめると、全不動産の相続財産評価に対する収益率が0.9%程度であることが判明。我々のところに相談に来られる地主さんはこのように収益率が低い人が多い。今回は特に自宅や裏の畑は収入はないのにも関わらず、宅地並みの課税で固定資産税が支出される。少なくとも何か対策を検討すべきであることは間違いないようだが・・。この畑の土地を残していくことがマストなら、できるだけリスクを減らせるプラン(①一戸建賃貸と小規模アパートの併用プラン②土地の一部を売却し、アパートの建築費に充当するプラン)をまずは検証してみた。 次に発想を変えて思い切って組み換えてしまうプランを考えた。ここでのポイントは、アパート活用をした場合の15年後をイメージすること。駅から歩けない築15年の木造アパートが、果たして当初のシミュレーション通りに家賃収入が確保し続けられるだろうか?もし自分がお客様と同じ立場で投資をするなら、資産価値が下がりにくい場所を選んで投資するのではないだろうか。そう考えていくと私自身なら畑を売って、もっと利便性の高い立地にある不動産に買い換えるだろう。経済合理性を優先するとしたら至ってシンプルな考えだ。
方針決定!お客様が選択した相続対策
レポートを受注してから約1ヶ月後の報告会では、現在、提案を受けているアパート活用のメリット、デメリット・借入リスクを軽減してそれを実行する方法、そして買換えまでの対策を一通りご説明した。さらに、お客様の持っている不動産の状況や家族背景、将来の希望を総合的に考えると、思い切って今、買換えをすることがお客様の夢を実現する方法の一つであることを話した。 「確かに高橋さんの言うとおりかもしれないね。この期間私なりにまわりの人にも話を聞いてみたけど、やっぱりこの場所で1億円以上の借入金をして、アパート投資はリスクが高いと判断したよ。相続した土地だけど、土地にはそこまで思い入れがあるわけでもないし、高橋さんの言うように今から15年後を想像して娘へ資産を渡すことも考えると、場所のいいところに買い換えておいた方が得策かもしれないね。買換える方針でこれからも我が家の不動産対策を一緒に考えていってもらえないかな」私の分析結果と提案を聞いて、ご主人も奥様も不安に思っていたことが一気に払拭されたようでとてもすっきりした表情になっていた。そしてその場で引き続きの不動産コンサルティング契約を締結し、これから具体的な資産の組み換えの実行をお手伝いすることになった。

所見

そもそも底地が売れるものなのか?持ち続けることによってどんなことが起こるのか? 昔から貸している土地なので、特に何も考えず不動産を持ち続けているケースはよくあります。
これは底地に限らず他の不動産についても言えることです。
しっかりと分析をし、生前により効率の良い不動産に組み換えることで、収入が増え、相続時には大きな節税効果が発揮できることもあります。 ただし不動産の買換え時には譲渡税などの税金負担も少なくありません。 プロサーチでは事業用資産の買い換え特例なども考慮した上で、お客様にとってベストな不動産組換プランの提案も行っております。(記:髙橋大樹)

無料メール診断はこちらへCONTACT

個別相談専用ダイヤル受付時間 10:00〜18:00(土日祝除く)