事前準備が物納成功のカギ

事前準備が物納成功のカギ

事前準備が物納成功のカギ写真
被相続予定者
足立さん(ご主人・75歳)
ご相談者
足立さん、奥さん(70歳)、長女(48歳)
対象不動産
自宅、賃貸マンション、畑(生産緑地)、生命保険、現金

ご相談内容

将来一人娘に迷惑をかけないように、今から相続対策を考えたい!

足立さんは相続で受け継いだ複数の不動産を所有している。将来一人娘に迷惑をかけないように、今からできる相続対策を考えたいと思っていたが、何から手を付けていいかわからなかった。ただ漠然と、相続税は、駐車場になっている土地を売るか物納すれば何とかなるだろと思っていた。

不安に思っているのに相続税がかかるのか一度も調べたことがない

保険代理店のTさんの紹介で来社した足立さんは温和なジェントルマンだった。話を聞いてみると相続税のことを相当気にしているようだが、「相続税がかかるか試算したことありますか?」と尋ねてみると「一度も無いです」とあっさり答えた。「相続税が心配だ!」と言っているのに、実際かかるかどうかを知らない人があまりにも多い。そこで、有料だが詳細の不動産調査と概算相続財産評価、相続税額の算出をすることをお勧めした。一旦持ち帰り奥さんと相談の上、2日後に「依頼したい」との連絡があった。

駐車場以外は手放したくない!しかし駐車場は計画道路予定地!

当社の税理士が試算したら概算相続税額が約1億円。不動産の調査を進めると、納税に充てたい駐車場の土地のほとんどに「都市計画道路」が設定されていて普通の価格では処分が困難であることも分かった。これで思惑通りの納税の絵は崩れそうだ。以前から足立さんからは駐車場以外の自宅や賃貸物件は手放したくない、との話があった。駐車場が思うように売れないと分かった今、現預金2,000万円では納税には足りない…どうやって納税するべきか。

計画道路予定地を物納するための作戦

当事務所の提案と解決策

売却よりも物納の方が有利!?

計画道路が設定されているということで、相場価格で売れる見込みは少ない。おそらく、実際に売れるのは相場の▲3割引きくらいの価格になってしまうことも十分考えられる。一方、相続財産評価上は3%程度しか減額できない(用途により)。つまり計画道路が設定されている土地は、売るより物納する方が有利になるケースもあるのだ。

あまり費用の掛からない相続対策と併せて駐車場の物納準備を!

調査報告後、相続対策として①おしどり贈与(婚姻20年以上の配偶者に2,000万円分非課税で自宅の土地建物を贈与)②生命保険加入③暦年贈与と、まずはコストがかからない対策を実行した。あわせて、できれば生前に土地は売りたくないとの希望から駐車場の物納準備を今から開始することになった。物納の成否を左右するのは、早めの事前準備に尽きる。前記の各種対策の結果、多少相続税予定額も下がったのも束かの間、平成25年度の税制改正で相続税増税となってしまった。そこで、現在、娘さんのご主人を養子にすることも検討中だ。

遺産相続コンシェルジュからのアドバイス


物納はできないと巷では言われています。確かに簡単に物納ができるわけではありませんが、実は物納できる専門家がほとんどいないことが大きな要因です。税理士さんは物納申請などの手続きはしますが納税完了までの作業はしてくれません。また面倒な物納より、お金があればそれで納税することをまず考えます。多くの税務の専門家は、相続人の意向より手間がかからない納税や分割方法を選ぶことがあります。また、不動産業者さんは物納など知りません。だから相続・物納・不動産の知識と経験のある確実なパートナーを見つけ、一緒に事前の準備を行うことが大切だと思います。
(芳屋昌治)

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