【令和4年度最新】今年の『路線価』発表を受けて、お客様の相続対策に影響する4つのポイントとは?

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2022.7.29

 
毎年7月1日と言えば、『路線価』の発表日です。令和4年も例年通り、7月1日に公表されました。
不動産や相続に関わっている専門家の方は、毎年必ず動向を押さえていますよね。
 
路線価は、土地の相続税評価額を算出するときの平米単価として用いるものですが、前年(2021年1月~12月)の不動産取引データを基に算出されているため、路線価の推移を追うことでそれぞれの地域の不動産市況を把握することもできます。
 
今回は、令和4年度の路線価の結果を受けて、皆様のお客様の相続対策に影響するポイント、そして、ぜひこの路線価発表のタイミングでお客様にご提案いただきたいことについて解説いたします。
お客様の相続・不動産に携わる専門家の皆様に、ぜひご覧いただきたい内容となっております。
 
本記事のポイントはこちら。

・令和4年度の路線価は、標準宅地が全国平均で2年ぶりに上昇。上昇率トップは北海道、続いて福岡県、宮城県という結果に。
 
・路線価の最高値は今年も『中央区銀座5丁目』。2年連続で下落したが、下落率が縮小してきていることから不動産マーケットが好転していることが伺える。
 
・路線価の発表によって特に影響するポイントは、①相続税額の増加 ②納税用資金への影響 ③遺産分割への影響 ④時価と評価額の乖離
 
・相続対策が完了しているお客様も、「相続税評価額、相続税の試算」「不動産時価の査定」「遺産分割や納税財源の確認」は、少なくとも3年に一度は見直す必要がある。

 
 

 令和4年度の相続税路線価の発表

チェック
それでは早速、令和4年度の路線価の結果を見てまいりましょう。
 
標準宅地は、全国平均で+0.5%(前年は▲0.5%)と、2年ぶりに上昇しました。
2021年1月~12月は不動産価格が高騰したことから、都心部や主要な観光都市を中心に大きくプラスに転じました。
 
これは新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に薄まりつつあることを示しているのではないでしょうか。
 
■関連記事
参考:2021年度の不動産マーケット記事(※戦争影響前)
2021年不動産市況の振り返りと、2022年の【不動産天気予報】
 
 

 都道府県別ランキング(上昇率・下落率)

■都道府県別平均値 上昇・下落率ランキング

 
【上昇】
北海道や福岡県の大幅な上昇の要因は、大規模な開発事業が行われているためです。
その他の都市も、土地開発が活発なところは上昇しています。
 
東京都は+1.1%となり、前年の▲1.1%減から上昇に転じました。
 
これは、住宅ローン低金利、住宅取得支援策等の効果で個人の住宅需要が堅調に推移したことや、不動産開発事業者による都心近郊部でのマンション用地取得が活発になった(とにかく高騰している)ことから、地価上昇に転じたと言えるでしょう。
 
【下落】
路線価が下落したのは27県で、前年の39都府県から減少しました。
 
人口減少が顕著な地域での下落が目立っていて、下落率1位の和歌山県は、和歌山駅前についてはマンションや複合ビルの建設などの期待感から横ばいだったものの、その他の地域では大型商業施設の閉店などによる影響で地価が下落しました。
 

 都道府県別最高路線価ランキング(上昇率・下落率)

全国の最高路線価は、今年も東京都の『中央区銀座5丁目 銀座中央通り』で4,224万円/㎡でした。前年から▲1.1%と2年連続の下落ですが、前年の▲7.0%よりも下落幅は小さくなっています。
 

 
上昇率を見ると、千葉を筆頭に駅前の再開発が行われている土地の上昇が目立ちます。
兵庫の三宮センター街(5.8%減)や大阪の御堂筋(4.0%減)などの観光地は前年よりも下落率は縮小したものの、依然として訪日客の減少などが影響して下落しているため、訪日外国人数や国内旅行客数が回復しないうちは苦戦が続きそうです。
 
 

 路線価が上昇・下落したら相続対策を見直す

上下
冒頭にも述べた通り、路線価は土地の相続税評価額に直結しますので、路線価が上昇したり下落したりすると、過去に練り上げた相続対策の見直しを迫られることになります。
 
特に影響するポイントは、下記の4点です。
 

①相続税額の増加
②納税用資金への影響
③遺産分割への影響
④時価と評価額の乖離

 
一つ一つ見ていきましょう。
 

 ①相続税額の増加

コロナ禍以前(概ね5年以上前)に相続対策をしたお客様には、今すぐ相続税の再試算をご提案しましょう。
 
具体的な事例として、私のお客様で東京都中野区の土地をお持ちの方がいらっしゃいましたが、相続対策をした5年前と比較して路線価が2割も上がっており、相続税率も最高税率55%であったため、急遽、追加の相続対策を実行しました。
 

 

 ②納税用資金への影響

相続税額が増えた場合に気を付けなくてはいけないのは、納税対策です。
 
特に、地主さんのように財産の大半を不動産が占めているお客様は要注意で、相続税が増えたことで、準備していた納税用資金では足りなくなっている可能性があります。
 
追加で納税資金を工面するため、相続したかった不動産を泣く泣く手放すことになったり、金融機関から借り入れをしたりといった事態にもなりかねません。
 
納税がちゃんとできるのかどうか?は、お客様の大きな心配事ですよね。
 

 ③遺産分割への影響

相続対策は1度行えば終わりで安心、ということはありません。
 
路線価が上昇・下落し続けると、他の財産との評価額の差が開くことになりますよね。
評価額が平等となるように遺産分割していたとしたら、そのバランスが崩れて、相続人間で不平等となることも起こり得ます。
 
いざ相続が起きたときに評価バランスが崩れていたら、過去の遺産分割案が役に立たなくなります。
相続人間の争いを避けるためにも、定期的に財産評価の見直しをしないといけません。
 
また、遺産分割案の通りに遺言を作成していた場合も安心できません。
相続人全員の合意で分割し直すこともできますが、合意できなければそのまま遺言の通りに相続することになるためです。
 
話し合っても合意できないということは、つまり相続人間で不穏な空気が流れているということです。
親御さんとしては「子どもたちに揉めてほしくないから」と平等で万全の対策をしたつもりが、定期的な見直しを怠ったがために、路線価の上昇・下落によって想定外の困難な状況を作ってしまう可能性があるのです。
 

 ④時価と評価額の乖離

遺産分割のとき、評価額を基にするケースもあれば、時価を基に分けることもあります。
 
評価額と時価の関係は、80:100であることが多いのですが、不動産の種類によっては全く異なることがあります。
 

30坪の宅地 評価額80:時価100(一般的に流通する宅地)
300坪の宅地 評価額50:時価100(地積規模の大きな宅地の評価を採用)
区分マンション 評価額30:時価100
一棟アパート 評価額60:時価100

 
上記は、時価を100として見たときの評価額との差です。
評価額は路線価の影響を受け、時価はマーケットの影響を受けます。
 
コロナ禍で、一部の都市部などでは『路線価は下落、時価は高騰』という関係になり、評価額と時価の差が非常に大きくなっていました。
 
そのため、評価額だけではなく、時価も同じように見直す必要があります。
 

 今から行っておきたい3つのこと

上記を踏まえて、少なくとも3年に一度は、以下の3つを行うようにお客様にご提案しましょう。
 

1.相続税評価額、相続税の試算
2.不動産時価の査定
3.遺産分割や納税財源の確認

 
毎年見直すお客様もいらっしゃいますが、1年ごとになんてそれはちょっと大変だ!と仰るお客様の場合は、3年置きがいいでしょう。
固定資産税の見直しのタイミングでもありますし、3年間の動き(上昇・下落)を見れば、追加対策が必要かどうかも判断しやすくなります。
 
もちろん、お客様のご年齢によっては見直しの期間を短くするなど、臨機応変に対応しましょう。
 
 

 遺産相続コンシェルジュより

 
本記事のポイントはこちら。

・令和4年度の路線価は、標準宅地が全国平均で2年ぶりに上昇。上昇率トップは北海道、続いて福岡県、宮城県という結果に。
 
・路線価の最高値は今年も『中央区銀座5丁目』。2年連続で下落したが、下落率が縮小してきていることから不動産マーケットが好転していることが伺える。
 
・路線価の発表によって特に影響するポイントは、①相続税額の増加 ②納税用資金への影響 ③遺産分割への影響 ④時価と評価額の乖離
 
・相続対策が完了しているお客様も、「相続税評価額、相続税の試算」「不動産時価の査定」「遺産分割や納税財源の確認」は、少なくとも3年に一度は見直す必要がある。

 

昨年の不動産市況が活発であったことから、主要都市や観光地を中心に、路線価の上昇に繋がりました。
 
また、不動産マーケットは、ロシアとウクライナの戦争をきっかけに、日本の不動産が安定資産として注目を浴びていることなどから、今後も一部の不動産の価格は上がっていくでしょう。
 
評価額も時価も、常に変動しています。
不動産は財産の40%以上を占めていることからも、相続を扱う専門家の皆様は常にアンテナを張り巡らしておく必要があります。
プロサーチでは、不動産価格査定はもちろん、遺産分割から相続対策立案まで幅広いご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。(記:友重孝一朗)

 
 

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